神話学習スレ inバリュケー (170)

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29 - 名無しさん@破産CEO 2021/07/08(木) 13:45:14.84 ID:WpURDuD70

ローマ神話がギリシア神話の影響を受けているのは周知の通りでふ。
一方で関係性について把握している人は少ないのではと思いまふ。
例えば上にあるゼウスとユピテルの対応については、基本的にはその認識で問題がありません。
基本的に、と付けたのはローマにおける土着の信仰を決して無視は出来ないからでふ。
一般的に知られているローマ神話はトマス・ブルフィンチの著したものであり、その内容の殆どはオウィディウスとウェルギリウスを元としていまふ。(ブルフィンチ自身がそれを認めていまふ)
さて、このブルフィンチのローマ神話は細かな差異はあれどギリシア神話の内容に準じたお話になっておりまふ。
というのも元となったオウィディウスの作品がギリシア神話の再構成であったからでふ。
ここの再構成とはローマの土地・文化に合わせたものというより、オウィディウスの詩作の傾向(彼はことさらに性と恋愛を詩の主題とする作家でした)に合わせたものでありまふ。
ウェルギリウスについてもギリシアの叙事詩環に直接連なる物語として書かれておりまふ。
ギリシア神話自体、たとえば劇作家のエウリピデスやアイスキュロスがそうしてきたように作家が自己流に様々な解釈をし、辻褄を合わせるために後付の設定を加えてきたものでふ。
すなわち一般に知られるローマ神話とはギリシア神話をテーマにしたラテン文学作品という意味合いが非常に強く、同一視というよりギリシア神話の枝と考えた方がよいのでふ。
かつてホラティウスは「ギリシアはローマに制服されたが、勝利者たるラティウムの文化をギリシアが征服した」と言ったそうでふ。
ローマ人自身も自分たちが描く神々の物語はギリシアのものであるとみなしていたわけでふね。
事実、不自然なまでに多くの英雄が、ギリシアからイタリアへと旅したエピソードを付け加えられておりまふ。