971 - 一般名無し質問者 2022/06/12(日) 14:05:41 ID:CL8cpDIo0
これも今は昔、
家の隣より 出できて、 おしおほひてせめければ、逃げ出でて、 へ出でにけり。
人の書かする もおはしけり。
また、衣着ぬ なども、さながら内にありけり。
それも知らず、ただ逃げ出でたるをことにして、向かひのつらに立てり。
見れば、既に に移りて、 くゆりけるまで、おほかた、向かひのつらに立ちて、眺めければ、
「 こと。」
とて、人ども来とぶらひけれど、騒がず。
「 に。」
と人言ひければ、向かひに立ちて、家の>982を見て、うちうなづきて、ときどき笑ひけり。
(宇治拾遺物語/>972)