一本うどん (2)

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1 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2018/11/22(木) 21:56:27.22 ID:yLEh+8Fh0

私は森クマ。森×ゾノ法律事務所に籍を置く一般優良弁護士クマ。この事務所名は、最近司法界隈で掛け算が流行っているクマ、他意はないクマ。
司法研修の元同期に聞いた話、同じく元同期が弁護士をやめてうどん屋を始めたというクマ。
今日は彼を訪ねにはるばる東京まで来てやったクマ。

「うどんや たかひろ」クマ?今年開いたばかりクマ、へんクマね。看板が老舗の感じクマ。
(後で聞いた話クマが、あれはある蕎麦屋から買い上げた看板を研磨して文字を彫ったものクマ。)
どうでもいいクマ。飯だ。朝から何も食べてないクマ。おなかはぐぅぐぅいうし、さっさと入るクマ。

「おい、唐澤!いるクマー!?」ガラガラ
「森ナリね?久しぶり!聞いてたナリよー!」キュムキュム
スリッパクマ。相変わらずクマね、と笑うと彼はえらく豪華なメニューを渡してきたクマ。うどんしか書いてない。
「うどん一杯クマ!」
「かしこまナリ!」
私が注文すると、彼は了解してパタパタと奥へ行ってしまった。

それからクロスの掛け算の本(本棚にあったクマ。教育に悪いクマ。)を読んだりして、ときどき破裂音がしたりして驚きつつも待っていると、ようやく彼は盆をもって出てきたクマ。
私は怒った。
「おい、唐澤ァ!そろそろ怒るクマ!これはうどんではないクマ!」
出てきたのは、ぶよぶよととぐろを巻いた茶色い物体だったクマ。
「ナリ、当職を疑うナリ?これは一本うどんナリ!知らないなんて田舎者ですを」
なにやら説明書きのプレートを突き付けれたクマ。読むとなにやら歴史の深さが書かれてるみたいクマ。
私はしぶしぶ矛をおさめると、箸に手をつけたクマ。

箸でつかもうとすると、麺が切れてしまう。四苦八苦してどうにか口に入れた。
右の頬と左の頬を同時にしばかれたような刺激(いそう)が走る。
芯までたっぷりと茶色い汁が染みた、ゆるゆるの麺が口内を蹂躙する。
ゆるゆるなくせに反発し、ぷりぷりと歯列をなぞられる。
背筋がぞくぞくとする快感。
思わず一気に吸い込んでしまった。
快感が繰り返す、どころか一口一口と強くなる。
最後に残った茶色い汁までごっくんした。
私はもう一本うどんの虜クマ。

後ろめたくちらと唐澤を見ると、あの腹が立つ笑顔でニヤけていた。