13 - Let`sGO 素敵な世界 2018/05/31(木) 17:00:49.76 ID:zgMvcYUg0
「はぁはぁ…はぁ…」
走っていくと、六本木だった場所の広告やポスターが見え始める。
広告やポスターは、日本語みたいな文字で書かれていたが、当職にはどうしても読める文字ではない。
やっぱり、ここは当職の知っている世界とは違うのだ。
しかし、ポスターや広告に映っているのは、どこかで見た事のあるような顔の男どもがドヤ顔で映っている。
この世界は、こんな臭芋どもがモデルとして活躍しているのか。
≪我々は、この国を再建し信仰を与えてくださった尊師に全てを捧げ、命をも預ける覚悟です!≫
テレビには、ゲジ眉の釣り目の男がスーツを着て熱弁している。
こいつも、どこかで見た事があるような気がする。が、
≪そして!この俺、恒心音楽制作事務所の私、藤原太一は紛れもなく上級教徒で―――≫
≪ここでニュースです。MMD管理委員会と名乗るテロリスト軍団が、犯行声明を発表しました≫
だが、そのゲジ眉の熱弁は打ち切られ、また見覚えのある顔が文章を読み上げている。
≪テロリストの首謀者であるゴロゴロウ氏は、これより我が国、K本国に攻撃し、森園姫にした事への報復として――≫
見覚えのある顔は、忘れもしない。彼は――
「長谷川くん…!?」
≪――して、予告時間は…え?い、今から一分後やんけっ!!?≫
長谷川くんの驚き声が街に響いた後、ビルのモニターは巨大な音を立て爆発し、崩壊した。
辺りの男たちは騒ぎ、逃げる。
ビルの破片が飛び散り、辺りの人たちを押しつぶし臓物や皮膚や肉片をまき散らす。
頭に直撃した者は、脳や目玉を飛び散らす。
地獄絵図だった世界が、更に地獄絵図になった瞬間であった。
訳の分からないまま、訳の分からない事になり、当職の脳は既に限界であった。
「…と、当職は……当職は……」
膝がガクガク震える。ああ、当職はこんな所で死んでしまうんだ。
ビルの破片が上から降ってくる。
こんな事なら、山岡くんに愛の告白をしておくべきであった。
そして、強引にでも山岡くんをホテルに連れ込むべきであった。
こんな、訳の分からない事で死んでしまうなら、いっそ―――
当職は、後悔や懺悔を繰り返し、目を瞑った。