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302 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2018/04/10(火) 12:41:46.00 ID:9Mtsd6tj0

「どういう事ナリか?!」
小太りの男が声を荒げる
「やだなぁ、そのままの意味ですよ?ねっ、しょーへー?」
髭を生やした男が静かに答え、横にいるガッチリめな男もコクリと頷く。
「俺たち、もうからさんとはやってけないんすよ、だから出ていって貰おうと思って、ねっ、ひろ君?」
二人はからさんと呼ばれた小太りの男の後輩であり、同僚でもあった。
時に笑いあい、時に叱り叱られ、友好な関係を築き上げてきた仲間だ、その二人の突然の絶縁宣言にからさんは驚きを隠せない。
「なら、二人が出ていくべきナリよ!どうして当職が出ていくナリか!」バンッ
苛立ちの余り、からさんはデスクを叩く。
しかし、二人の男は驚く事もなく何も言わない、ただただからさんをじっと見つめている。
その目はどこか虚ろであった。
(様子がおかしいナリ・・・そうナリ、パパから言って貰うナリ)
「パパ!二人が変ナリ!パパからも何か言ってやって欲しいナリよ!」
パパと呼ばれた初老の男、彼の父は答えず書類に向かっている、その目もやはり虚ろだった。
「パパ!どうしたナリか!」
「聞こえませんよ〜だってほら!」
ガッチリめの男がおもむろに初老の男の頭を掴む、そして
「じゃーん!」
パカッとズラが取り外される、開示された頭部にはまるで大きなムカデが巻き付いているような痛々しい縫い後があった。
「兄が医者でね?仕事に必要な部分以外取って貰ったんすよ〜まぁ稼ぎ頭は必要っすからね〜」
そう、彼の父は禁断のロボトミー手術を受け仕事しか出来ない廃人に変えられてしまっていたのである。
「パパ・・・」
よたよたと父に歩みよるからさん、力なく何度も呼び掛ける。
「パパ、パパ・・・たかひろナリよ・・・」
父は答えない、黙々と書類に何かを書きなぐっている。
その場に崩れ落ちるからさん、その光景をニタニタと見つめる元同僚たち。
からさんは涙した、同僚に裏切られた事よりも、あの優しかった父の変わり果てた姿を見て涙が止まらなかったのだ。
「パパ・・・」
夜の事務所、元同僚たちの不気味な笑い声とからさんのすすり泣く声が響く、異様な空間だった。