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299 - Torano Mon Seven Malus 2018/04/10(火) 06:18:27.08 ID:vTIQOC0t0

「メールの場所はここか…」

二〇一九年三月七日午後三時

必死に相葉雅紀に似せようとしたが染髪剤が無くソースで染めた茶髪
己の性欲がそのまま顔に現れたかのようなチンコ顔
女の子に持て囃されるため日サロに行ったが焼きすぎてうんこの色にまでなったドス黒い肌
彼の名は八神太一(仮名 本名:長谷川亮太)
炎上から7年経った今になって彼はかつて依頼した弁護士……いや、元弁護士に招待メールをもらって、この森タワーROPの前にいた

――長谷川くんへ
当職は君へのお詫びがしたい
当職の新しく始めた当職のお店に来て欲しいですを――

最初は来るつもりはなかった
本来なら未だに奴が持っていた自分のアドレスに今更突拍子もない連絡をしてきたため返信に恒心教徒とやらの作ったマルウェアを添付して嫌がらせするつもりだった
そもそもお詫びの言葉をメールで済ませてあまつさえその文面を誤字で〆るデリカシーのないクズなぞできることならこの手で殺してやりたかった
しかし聞けば奴はとうとう弁護士業を辞めたという
度重なるネットリンチに耐えかね事務所を解体、その流れで資格も返却したというのがなんJで有力視されてる説らしい
それから一年消息を絶ち姿を見せなかったが、あの男性アイドルの事務所の隣でありながらとてつもない臭いによって空室のままだった例の707号室に買い手がついたという

(奴に今まで溜め込んだ鬱憤を全部ぶつけてやる。お前のせいで負ったワイの心の痛みを全部あのデブに……!)
彼はエレベーターの7の数字を拳で殴りつけた
殴りつけた手の甲は、リンゴのように赤く膨れ上がっていた

テレビで見覚えのある、奴の部屋への扉にノックをせず手をかける
彼はその扉を勢いよく開くと……

パパーン!
「ようこそ!Three Million Sweets Mafiaへ!さあ長谷川くんこっちへ来なさい!」
クラッカーの音が鳴ると同時にコックウェアに身を包んだ忌々しいあの男が現れた
同時にまだ部屋に残っているツンとした刺激臭が彼のニンニク鼻をくすぐった
唐澤貴洋……彼が恒心教徒にストーカーされる原因となった人物である
両隣には紙袋を被り、破裂したクラッカーを持ったスーツの人物が二人
恐らくは彼の部下である山岡たちの仮装だろうか

7年前、こことは違う場所だが相談しに行った時の、顔だけは神妙な態度とは全然違う様子に彼はあっけらかんとしていた
しかしすぐに察しはついた
恐らく奴はトチ狂ってこの場所に飲食店を開き再起を狙っているのだろう
そのためにまずは唐澤一番の被害者である彼に満足させてそれを広めて感心した教徒に売り込むつもりだろう

「どうも、お邪魔します」
絶対奴に甘い思いをさせてやるもんか
食中毒にかかった、掘られた、殺人事件が起きたなどと嘯いて今度こそ社会的に破滅させてやる
そう思い、案内されるがままに移動し席についた

「こちら当店特製のリンゴ飴になります」
奴が細長いグラスの器にリンゴ飴を6本持って現れた
グラスの底には手持ちの棒の先に1〜6の数字が透けて見えた
この順番で食えということだろうか?
しかしどれも白味がかった黄金色の蜜が真っ赤なリンゴを包みとても美味しそうである
なるほど、人に食べさせるためにある程度は勉強したということか
漂ってくる甘い香りの中にはなんだか懐かしい刺激臭もしたが気のせいだろう

「いただきます」
そう言って彼はリンゴ飴に手を付けた
あいにく飴は噛み砕いて食べる性分、のんびり舐って味わうつもりはなくザクリとかぶりついた
うまい
リンゴを包む蜜がねっとりと絡みつき、それでいてベタつかない歯ざわりに思わず感心してしまった
それだけでなくなにか不思議な香りが鼻孔をくすぐり食べていて面白い
思わず芯を残して全部食べきってしまった

「唐澤さん」
「なんだい?」
「これ、メッチャうまいですわ」
「はい」
ペコリと頭を下げる
その顔は心から喜ぶような満面の笑みだった
思わず溜飲が下がってしまったが元々は奴をどうにかしてぶっ殺してやろうとしてたところなのだ
ここでいい気持ちにさせてやるのはなんだと思いどうにかケチをつけてやろうと思った

「でもこれ六個もあるでしょ?いくらまだ若いワイ…僕でもこんなに食べるのはちょっと無理があるのにちょっと頭おかしいと違いますか?」
奴はその言葉に、グラスに向けてどうぞのハンドサインで返した
いいからもっと食ってみなさい、とでも言いたいのだろうか
だったら乗ってやる
もし途中で食いきれなくなったら棒を奴のキンタマにぶっ刺して7つ目のリンゴ飴にしてやる
そう思い2のリンゴ飴にかぶりつくとこれまた彼を感動が襲った
先程の飴はどこか乳臭い印象で、いかにも子供向けの香りだったが今度はアロマのすこやかな風が通り抜けたのだ
急いで食べ終わると3と4のリンゴにもかぶりつき、それぞれが違う香りで食が進む

続いて5のリンゴにかぶりつく
さっきのとは違う、甘じょっぱい味だった
これだけ異様に臭いがきつかったがこれまでと違うアプローチには不満もこちらの口から出ることはなかった

6のリンゴに急いでかぶりつくと血なまぐさい臭いがした
何度もリンゴをかじったせいで歯茎から血が出たのだろうか?
しかしそれを抜きにするとどこか懐かしい、いわばおふくろの味がしたのだ
果たしてそれも食べきると彼は満足そうな表情を浮かべていた

「ゲェップ……ごちそうさま…っと」
デカイゲップを出し、手を合わせ食材や料理人に感謝をする
しかし奴は首を横に振る
これ以上何か用意しているとでもいうのだろうか?
だが今は奴の料理をもっと食いたいと思っていた
しかし驚いた、奴にお菓子作りの才能が眠っていたとは――

そう思うか思わないかの間に今度は大きめの皿を持ってきた
そこには持ち手に7、と書かれている包丁が盛り付けられていた
刃物が急に出てきたこともあり身を引いたがここで騒ぎを起こせばタダでは済まない
きっとこれで新しい料理でも作ろうという奴なりのメッセージだろう

「じゃあ唐澤さん、早速厨房に…」
「7個目のリンゴ飴は……」
ふっとそれまでの笑みが消え、あの時のような仏頂面になった
それに怯える暇もなく奴は言葉を綴る

「君ナリ」

皿の上の包丁を片手に持ち、彼を羽交い締めにすると奴はズボンに手をかけ下半身を顕にした!
どこか柔らかい、恐らく皮被りしているであろう屹立した陰茎が尻を突っつく
それは既にベトベトした汚れにまみれていたのが彼のズボン越しからでも伝わっていた!

「な、何のつもりや!クソ弁護士!」
「君があのリンゴ飴を美味しそうに頬張ってくれてうれしいナリ」
なにを藪から棒に、と言おうとする口を次の言葉が塞いでしまう

「あれは君の好きなダーキニーの蜜を混ぜた……正確には出来上がったリンゴ飴を彼女たちのおしっこをするところに押し付け香り付けしたものナリ」

首筋に包丁を押し付けるともう片手がズボンのベルトに手をかける
スルスルと服が脱げ落ち彼のチンコフェイスがひょっこりと顔を出した
助けを呼ぶ間もなく奴は言葉を続ける

「ネット上で確認できる君が好いていた人物……それをここに呼んでいるナリよ」
その言葉とともに紙袋をかぶったスーツの人物が4人新たに現れた
どういうことだ?奴は新しく部下でも雇ったのか?
一体こいつらは――!

1つ目のリンゴ
あれは嗅いだことのない臭いだが一人だけ異様に背丈の低い人物がいる
過去抜いたことのある違法AVの女優
流石に本人を連れてくるのは物理的に無理なので同じ年頃の女の子を誘拐したところか

2つ目のリンゴはアロマ
これは行きつけのピンクサロンの香水の匂いか?

3つ目、これはかつてパンチラで抜いた名前も知らぬ女
ふわりと石鹸の匂いがしたことだけは覚えていた

4つ目、かつて俺の住所を確定させるヒントを出しやがった奴
しかし家に呼ぶくらいには仲がよく、その香りはしっかりと覚えていた

まさか
もう2つのリンゴは

それまで喜んで食べたリンゴを口から戻そうとする
旧約聖書のアダムとイブは知恵の実を食べて楽園を追放された
ならば彼らも許しを請う時にこのように吐き出そうとしたのだろうか?
しかしそれを悪魔は許さなかった
蛇の姿をした悪魔は猿ぐつわのように口に巻き付き、吐き出すことをよしとしなかったのだ
そんな記述はどの聖書にもないが、それを裏付ける証拠が目の前にある
なぜならその悪魔がもう片方の腕を押し付け、逆流するものを飲み込ませようとしているからだ!

「ン…!ンゴッ!!」
必死に叫ぼうとするが声が出ない
最初から付き従ってたスーツの人物がするりと紙袋を外していく

やめろ――!やめてくれ――!
目をつぶってこの惨状から目をそらそうとするが4人のスーツの紙袋の女たちがそれを許さずまぶたをしっかり開かせた
涙で視界がにじむ
しかしぼんやりとながら素顔を見せた人物は、彼の元彼女と母親の姿だった
それまでだんまりだった彼女たちが一斉に口を開く

「おまえのせいでわたしたちはあのデブにいたいことをされたの!」
泣き叫ぶように小柄の女の子は慟哭する
そうか、あの白いものは奴の――

「貴方は金払いはいいけど抱くたびに他の嬢からマンフェマンフェ言われてイライラしてたのよ!」
奴は風俗嫌いのくせにこんなことをするためにワイのお気に入りを――

「死んじまえ!おめえのことなんか初めてあったときからずっと嫌いだったんだよ!」
「あんたの家の情報を確定させちゃったことは謝る!でも私の夢をぶち壊しにされたのは今でも許してないから!」
ワイの学校のクラスメイトまで――

「死ね!あたしの彼氏とうまくいかないのも全部アンタのせいよ!」
あの汗の味と臭いはアイツの――

「お前のことなんて……産まなきゃよかった!!」
おかあさん――そんなこと言わないでよ――

悪魔が言葉を綴る
「君は嫌な思いしていないかもしれないが当職たちは君のせいで嫌な思いをした」
「当職は君の好きなものを犯し尽くすことで満足感を得た」
「でも最後の一人が残っている、それを一片も残らず陵辱し尽くすことでこのイニシエーションは完了する」

それは――

彼の菊門に、今にも皮を被った魔羅が突き刺さろうとしていた
それを振り払おうとするも悪魔に逆らうすべは持ち合わせていなかった
涙をポロポロと流す彼を他所に最後の宣告をする



――お前だ




目が覚めると、あの女たちは姿を消していた
尻に違和感を感じると同時に異物が引っこ抜かれるような感覚を得た
しかし不思議と痛みはない
とっくに肛門が破壊されて感覚を失っていたからである
目線の先には先程の包丁が見える
7の数字の掘られた包丁の先には糞便にまみれた禁断の果実があった
「長谷川くん、これを食べることで君のカルマは浄化され新しいステージへと向かうことができる」

――罪?
俺が一体何をしたというのか?
俺は何もしていない
何もできなかった

――そうか

「唐澤先生ェ……ワイ、何もお前にできんかったんやなぁ……」
しおらしくなった彼を悪魔は訝しむが、罪を自覚したと思ったのだと納得し目の前に7つ目のリンゴ飴を差し出す

「最初からお前をブチ殺したいと思っとったんや!!それをこんな果実の罠で!!お前は!お前は!!」
差し出された包丁を手に取るとそれまで彼を陵辱していた蛇を切り捨てた!

「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
悪魔の尻から悪意が形となってひりだされていく
それでもなお包丁の刺す手を止めることはなく、今度は蛇の持っていた最後の紅く濡れた果実をもぎ取りかじりついた!
先程までリンゴを美味しそうに食べてたように袋を!睾丸を!今度は芯も残さず食らい付くしたのだ!

ふと見ると悪魔は既に事切れていた
まんまる太った躰を血と蜜で濡らしたその姿は、まさしく知恵の実そのものだった



しばらくして警備員が駆けつけた
そこには一人の青年が糞まみれの男の死体を貪っている姿が映っていた
7年目にして彼の罪は悪魔を食らい尽くすことで無事に注がれたのだ
異様な光景に、警備員と騒ぎを聞きつけたお隣の男性アイドルたちは口を結んだ
まるでこの知恵の実を食べてなるかと抵抗するアダムとイブのように
悪魔の亡骸の横には、包丁が突き刺さったことで新たに1と刻まれた新たな知恵の実が転がってたという