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102 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2017/08/17(木) 00:39:29.26 ID:MBYtwMkp0

黒いゴミ袋

お盆最終日ということで、今日は仕事を休み弟の墓参りに行くことにした。
弟の墓はここ最近悪いものたちに荒らされ、オランジーナを置かれたりスプレーで落書きされたりと悲惨な状態にあった。当職も時間を見つけてはその対応に当たったが、何分相手の素性がわからないため分が悪い。苦し紛れの策として監視カメラを設置したものの、わずか数日で開示される有り様だ。依然として墓荒しは絶えない。
本来なら当職一人でではなく、菩提寺のすぐ側に家を構えている、母方の実家とも協力して立ち向かうべきである。しかし、当職が言うのもなんだが、あの一族の仕来たりはどこかおかしい。何か得体の知れない、体の内をくすぐられるような違和を感じる。目に見えない狂気が、いや悪魔が潜んでいると言っても過言ではないだろう。それほどあの家は禍々しいものを仕来たりとしている。弟が自殺したのも……
――やめよう。弟は悪いものたちから集団暴行にあい、それに耐え兼ね自殺した。それだけだ。実家とは何も関係ない。全て当職の妄想。考えすぎなだけである。
さて、弟の墓に到着したぞ。まずは墓とその周りを掃除しようか。
備えてあるオランジーナをかけ墓をみがく。夏の日を浴びた墓は中々熱くなっていて、みがいているうちにオランジーナが乾いてしまった。灰色だった墓にオレンジが浮かび上がって気持ち悪い。もう一度オランジーナでみがこうとしたが、掃除をして喉が乾いたので飲むことにした。生ぬるく弱い炭酸が喉を駆け抜ける。甘くておいしい。オレンジジュースに炭酸を加えたような味だ。香りはオレンジに近いと思う。飲み干した後は炭酸が後ろ髪を引いて心地好い。そうこうしているうちに、いつの間にかオランジーナがなくなってしまった。
水がなければ掃除は出来ない。さてどうしたものかと辺りを見渡すと、中身の入った黒いゴミ袋が落ちていた。また悪いものたちが訪れたのだろうか。見ると、どうやら結び目を下にして置いてあるらしく、道の真ん中に巨大な黒豆がたたずんでいるように見える。恐らく、これを持ち上げようとすると中身が出てしまうという仕掛けだ。そんな単純な手にのるほど当職は馬鹿ではない。軽く蹴飛ばして裏返してやろう。それっ。
「イテッ!」
どこからか声がした。驚いて後ろを見てみるが、何もない。再び視線を戻すと、ゴミ袋から白い棒が伸びていた。
「いきなり蹴るなんてひどいなあ」
また声がした。後ろを見てみるが、何もない。視線を戻すと、白い棒の先に鳥の頭がついていた。
「久しぶり、兄さん」