3 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2017/01/19(木) 21:43:39.31 ID:Kf/Zp3OW0
急に全能の力を得たような気持ちになり勇み足で帰宅すると昨年事務所に入ったばかりの生意気な部下が残業していた。
「からさん遅かったじゃないすか。洋さんが作ってくれたスープ冷めちゃったっすよ」
当職が先程宗教団体のトップになってきたのを彼はまだ知らない。
もし打ち明けたら当職を敬うようになって自発的にこのスープをチンしてくれたりしないだろうかなどとバカな考えを巡らせるが、さすがに今打ち明けても恒心教徒に洗脳されたなどとバカにされるのがオチなのでやめることにした。
「山本君山本君。当職、これから大きな事を成し遂げたいんだけどどうすればうまくいくナリか?」
コーンとニラが入ったまろやかな味のスープを啜りながら優しい世界実現のヒントを部下から引き出そうと試みる。
「そっすねぇ〜からさん仕事遅いから何時までに実現化するかの目処をつけるとこからやった方がいいんじゃないすか(笑)」
相変わらず口の減らない奴だと心のなかで密かに毒づいたが、これが思わぬいいヒントだということに気がついた。
父のデスクの上に放置された新聞には今上天皇の生前退位についての記事が載っている。
平成を30年で今上天皇の退位をもって終了させ、翌年から新天皇の下、新元号を施行すべきという有識者達の対談だ。
─────この時までに優しい世界実現の下準備を行い、新元号が始まるタイミングでこれまでの日本のありとあらゆる制度を廃止、優しい世界のルールによって当職が日本の支配者になってやろう。そう自身に誓いを立てた。