9 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2017/01/09(月) 18:06:58.92 ID:sGj02l780
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春が来て無事三年に上がり、僕とYくんは法学部に進んだ。ようやくやりたいことを学べるとYくんは喜んでいた。必要なものは全て一緒に買い揃えた。
恋人同士だったら、買い物に出かけたときどんな会話をするんだろう。ふと立ち寄ったセレクトショップでおそろいの食器を買ったり、プレゼントを贈り合ったり、するんだろうか。
人混みで手が少し触れたとき僕はどきどきして、手を握りたいのに逃げ出したかった。
近頃のYくんは先輩とくっついたり離れたりの繰り返しだ。Yくんは「もう駄目かも」が口癖になっていたが、今度こそ駄目と言っても必ず元鞘に戻った。
「腹減った」
人通りの少ない道を歩きながら彼はぼやく。
「僕の家来る?」
「料理出来んの?」
「一人暮らしだからね」
僕がキッチンに立っているとき、Yくんは僕の部屋をうろちょろしていた。
「うわあマルジェラばっか」
「おい、人のクローゼット勝手に見るな」
簡単な料理を振舞うと、彼は本当に美味しそうにすべて平らげてくれた。
「お前といると楽しい」
「僕も」
「な、俺たちもう親友だよな」
「そう思ってる」
これは本音だ。
「……最高にゲイだけど」
これも本音。
「いいね。"最高にゲイ"」
Yくんは僕の頬に手を添えて思いっきりキスをした。