4 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2017/01/09(月) 17:54:34.13 ID:cNTlGSU20
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夜、少しだけ飲んでホテルに行った。終わってからYくんは、僕の名前を呼んだり頬にキスをしたり甘えてきて可愛かったのに、はっと夢から覚めたように起き上がって「帰る」と言った。
「……朝までいたらいいのに」
「明日の予習がある」
「真面目」
「不良のお前と違ってな。なあホテル代ちょうだい。割り勘だぞ」
財布から五千円札を出して彼に渡した。ドアの前の精算機はガタガタ音を立てながら札を二枚吸い込んだ。
「ねえ、そのMさんって人の話だけどさあ」
「うん?」
「お前が誰か殺したくなったら俺も呼んでよ」
「どうして?」
「だって、その後お前とやったらすげえ燃えるでしょ、絶対。ついでにお前のことも殺しちゃうかもしんない」
「……。わかった、いいよ」
「よかった。じゃあまた連絡する。な、明日もちゃんと大学来いよ。俺ほんとに心配してんだぜ」
「うん。おやすみ」
Yくんは僕にキスをしてから、背を向けて部屋を出て行った。足音は遠ざかり、ベッドは次第に冷えていく。僕は目を閉じて、彼に首を絞められたときのことを思い出していた。彼に殺してもらえたら、どんなにいいだろう。
その夜、蛇の夢を見た。白い蛇の頭が二つに割れて、鋭い牙でお互いを喰らい合っていた。