4 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/09/13(火) 17:36:01 ID:EwHVneTI
するとT氏はおよそ慣れた質問であるかのようにふっと笑みを浮かべ、何か諭すような口調でこちらに語りかけた。
「いやあYさん、そういう旧時代的な考えはもうやめにしませんか。なぜ男が子を持ってはいけないのでしょう。あなたは理由を考えたことがあるでしょうか?
そう、そこに理由はないのです。当職は幾度も同じことを尋ねられ、このように聞き返しましたが、何一つ論理的な説明は得られなかった。そこで当職は確信したんです。男が子を孕まない必然性はないんだと。
いや、むしろ男は積極的に子を孕んでいかなければない。子を産むのが女のみの使命などと言ったら、それこそ性差別になるでしょう。男女共同参画社会を目指す我ら日本人にとって、男は積極的に子を孕むべきじゃあないでしょうか。
そういう性差を撤廃する一環として、父に子を持たせるようにしているのです。一法律家としてそれくらいはしなくてはね。」
一文字一文字についておよそ理解の追いつかない理論をまくしたてられ、私の脳は既に限界寸前であった。そうすると次に人が取るのは、強引な納得である。
そうだ、きっとそういうものなのだろう。きっと今までの自分が知らなかっただけで、これからの社会というのは男の懐妊こそがスタンダードになっていくんだ。
そう結論づけて私の中での議論は終結させ、今は目の前の光景を見つめることに注力した。