とうしょくのなつやすみ (5)

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2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/08/31(水) 11:19:36 ID:IWko7uLA

唐澤貴洋は冷たい水を掛けられたかのように突然ハッと目が覚めた。
それも嫌な予感(そして悪寒)を全身に走らせながらだ。
この感覚がするのは決まってあの時だ。 貴洋は恐る恐る目覚まし時計を手に取り刻まれている時刻を見てみた。
やはりそうだった。
登校日に起きるべき時間より大幅に遅れている。
「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
寝坊とは言え始業式の日に欠席ではお話しにならない。 急がねば。 声にならない声をあげドタドタと足音を鳴らし居間に転がり込んだ。
「お父さん!お母さん!どうして始業式の日に起こしてくれなかったんだ!これじゃ遅刻じゃないか!」
「何言っとるんぢゃ貴洋、今日も夏休みのはずだぞ。」
「そんなはずは無___」
そう言いかけた貴洋は今日二度目の、それも生まれて始めてと言って良い程の衝撃的シーンを彼は目にした。
父洋は褌姿で優雅に朝食を摂っていたのだ。
どんな時でも身なりは整え常にブリーフを下着として穿いていた父がだ。
「せっかく今日は珍しく家族揃って朝食が摂れるんぢゃ、良い子にしてなさい。」
「そうよ、こんなにうるさいと近所迷惑になるわよ。」
母厚子はゲームに出てきたトロールの様な風体をしている。
「始業式の日だなんて驚かせないでよ兄さん。」
弟厚史は最早人間の形を留めていない。 ダチョウの姿になっている。
おかしい。おかしい。俺は何を見ているんだ。
貴洋は段々頭がクラクラしてきた。
「ほらカレンダーを見てごらん貴洋、今日も明日も明後日も明々後日もそのまた次の日も何日でも何日でも何日でも何日でも何日でも何日でも夏休みなんぢゃよ」
そのカレンダーはどこをめくってもどの日付のマスを見ても8月31日を示していた。
「実を言うとまだ終わってない宿題があるんだ、兄さん助けてよ。」
「あら悪い子ね厚史。宿題と言うのは7月の内に終わらせるべきものなのよフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」
「さあ貴洋、今日の朝食はワシの産みたて卵で作ったオムレツぢゃよ。おいしいから食べてごらん」
「ニイサん今うハ多摩川に遊ビにイコォオォォォオオォォォォオ…」
目に映る風景が歪んでいく。家族の顔が乱れていく。聴こえる音が狂っていく。平衡感覚がグラグラと揺れていく。
頭の中で何かが畝っているのがわかる。
「あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!! )」
絶叫脱糞と共に貴洋の意識はストンと落ちた。