6 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/08/24(水) 21:33:40 ID:HHaSA/W2
「お……の……れ……」
動けない麻原には目もくれず、唐澤は座禅を組んで中空に浮かび上がる。
不思議なカリスマが空中に漂い、やがて、世界を覆った。
「我々はチームになりつつあります。声なき声に力を。」
山本と山岡は、思わず喉から声が出て行くのを感じた。「「声なき声に力を。」」
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意識が混濁している長谷川。だが、夢現つの中でも温かい何かを感じ、口から漏れだす。「声なき声に力を。」
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父洋は、息子が戦っているのを第六感で感じ取っていた。彼は息子の為に呟く。「声なき声に力を。」
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長谷川家の庭では、主人の身を案じてか、陶器が叫んだように見えた。「声なき声に力を。」と。
それを見た母幸恵は、同調するかのように小さく呟く。「声なき声に力を。」と。
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刑務所にて捜査をおこった面々は、皆一様に呟く。「声なき声に力を。」
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ようやく目を覚ましつつある気絶させられた刑務官たちは、まだ重い頭を抱えながら不思議と呟く。「声なき声に力を。」
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パソコンの前の恒心教徒は、ふと思い出したかのように呟く。「声なき声に力を。」
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会計士会長は、思わず自分を笑った。疲れからか、「声なき声に力を」などと呟いてしまったからだ。
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今や皆が口に出していた。あるものは持病の幻覚によって。あるものは何となしに。あるものは90dBで。世界が叫んだ。
『声なき声に力を。』
全てが唐澤尊師に集まる。
「新しい時代を。」
核の光が麻原を包んだ。