4 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/08/24(水) 21:28:49 ID:HHaSA/W2
2人は同時に右手を安らかに掲げ、優しく左手を差し出した。与願印と施無畏印の形である。この釈迦の構えの中に、超越神力が集中する。そして。
どちらかが発した掛け声と共に、2人の覚者の相反する超越神力が激突し、均衡する。
麻原の髭は激しくなびき、唐澤からは玉のような汗が落ちる。コンクリートに亀裂が走り、近くの電柱も表面が割れ、中を覗かせる。
それでもなお、両者の力は均衡を保つ。やがて大気も歪み、近くの建造物もミシミシと音を立てる。身動きがとれない山岡の電柱も同様だ。何より山岡自身もひしひしと強い力を感じている。
「く…そ…早く離れなければ…」
そんな山岡に肩を貸す弁護士がいた。駆けつけてきた山本である。
「大丈夫っすか山岡さん!ここから離れましょう!」
ビキビキと唸りを上げていたコンクリートであるが、その亀裂は徐々に唐澤の方へと寄ってきた。つまり、押されているのである。唐澤が。
ダメ押しだ、と言わんばかりに麻原は力を込める。刹那、唐澤の手元で大きな音が鳴ったかと思うと……唐澤の巨体は風を切り、遥か後方の壁に打ちのめされた。
力無く地面に崩れ落ちる唐澤。