超越神力vs超越神力 (22)

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1 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/08/24(水) 21:22:29 ID:HHaSA/W2

『緊急警報!緊急警報!』
『死刑囚一名が脱獄!』
『職員は直ちに向かえ!!』

刑務所に鳴り響く警報。死刑囚一名が脱獄したのである。
緊張感、空気の騒めきが走っているのは刑務所内だけではない。刑務所の外、入り口を固める刑務官たちにも同様に走っている。
「時間的にはそろそろ出てくる頃だ!」
「対象を見つけ次第………

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所変わってここは死刑囚がいた独房。
脱獄したのは掃除された直後だろうか。
彼がいた所にしては部屋がやたらと綺麗である。
……ひどく歪み、大穴の空いた壁を除いては。
「これは一体…こんなことが可能なのでしょうか………」
若い刑務官が目を丸くする。
一方、老いた刑務官は神妙な面持ちで大穴を調べている。
「……可能だろう。現に出来たのだ、奴なら。」
「奴の持つ、超越神力ならば……!」
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囚人服の男を待ち伏せている刑務官たちだが、一向に出て来ない。
陣頭指揮をとる上司は眉をひそめる。
「おかしい…なぜ出て来ない…捕まってはいないぞ……?なぜ出て来ないのだ………松本智津夫は

「麻原彰晃だ。」

自らの呻きを遮る背後からの声に、思わずばね仕掛けのように振り返る刑務官。
だが、彼は麻原の姿を見ることはできなかった。
直後に超越神力に当てられ、気を失ったからである。
一瞬あっけに取られた部下達だったが、本来の勇敢さを取り戻して麻原を組み伏せようとする。だが、それも叶わなかった。
そもそも、麻原のもとへ走り寄ることさえできないのだ。
まるで糸でがんじがらめにされているように、動けない。

「超越神力だ。しばらく上司と共に眠っていろ。」
「私の望みが果たされるまで……」
皆の視界が、暗くなる。