4 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/08/17(水) 10:51:10 ID:pnMSPPqo
ナンジェーミンがたくさんいるところへ向かって猟銃を構える。スコープ越しに拡大されたナンジェーミンの体を見て、どこを貫けば死ぬのかを予測した。確実なのは頭。頭蓋骨の隙間。僕は小さくて弱そうな一匹のナンジェーミンに狙いを定めた。パンと風船が割れるような音が空に響いた。遠くで小さな塊がはじけた。周りの大きなナンジェーミンは一目散に逃げ去って行った。後に残ったのは僕が的にした一匹の子共のナンジェーミンだった。
「やったんご?」
と、茶色いナンジェーミンは猟銃の音にびっくりしながらも僕らにそう問いかけた。
「仕留めたナリ。ではさよならナンジェーミン。」
「すごいね、にいさん」弟が耳元で囁いた。
茶色いナンジェーミンは僕らに向かってありがとうと握手を求めた。僕らは彼に触りたくなかった。仲間を見せしめで殺してやればあいつらはワイに怯えて手出しはしないはずンゴ。あとであいつらにワイに人間の仲間ができたと自慢するンゴ。茶色いナンジェーミンは楽しそうに喋った。
他のナンジェーミンはさっきの出来事で逃げ出したのか、全員いなくなっていた。広場には僕と弟とナンジェーミンの死骸しかなかった。あれだけたくさんいたナンジェーミンはどこに行ってしまったのだろう。僕らは子共のナンジェーミンの解体作業を終えた後、肉を袋へ入れ後始末をしその場を後にした。
狩りから帰ると僕らの家が燃えていた。家から離れて3時間34分ももたってないのに。
僕らの家は窓やドアから炎が噴き出していて、近づくととても熱く近づけそうにない。
轟轟と地鳴りのような音を立てて僕らの家は激しく炎上していた。
「にいさんどうしよう。」
「パパとママを探すナリ。」
庭のミント畑のそばに父と母が倒れていた。二人とも火事の前に殺されたのか、やけどの跡も服の焦げ付きのない。どちらも胸にナイフが垂直に刺さっていて、きっとこれが死亡原因だ。
母はまるで誰かに足で踏みつぶされたかのような顔になっていた。実際誰かに踏まれたのだろう。眼球は二つとも潰れてひしゃげたピンポン玉のようだ。
父の死体には燃えさしの木の枝が刺さっていた。抜いたとき茶色の固形便がずるりと出てきたので僕は笑った。この光景を見せたくて、おーいアツシと大きな声で弟の名前をよんだけれど一向に返事がない。青い空に僕の声だけが響いて消えた。燃えて倒れた僕らの家は火種が尽きたようで、上空に吸い込まれていく煙は幾何か細くなったようだ。