3 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/08/17(水) 10:23:23 ID:pnMSPPqo
猟銃に弾をこめながら、広場で遊んでいるナンジェーミンたちの様子をこっそりうかがう。
群れからはぐれている茶色いナンジェーミンがいた。そいつは仲間から離れて広場の周辺を頭を垂れながら歩いていた。こいつは動きがのろいし簡単に仕留められそうだ。
「カチャン」
弟が猟銃を落としてしまった。なにをしているんだ!僕は弟に怒鳴りたくなるのを必死に抑えた。茶色いナンジェーミンはその落下音で、茂みに隠れている僕らに気づいたらしく、一目散に音が鳴った方向に駆け寄った。
「人間見つけたンゴ。足だけは群れの中でもトップレベルだった。」
茶色いナンジェーミンは地面に腹這いになって隠れている僕らを見下ろした。太陽に背を向けた貧相な体が僕らに影を落とした。今まで見たことあるナンジェーミンはたいてい体色が黄色で筋肉隆々だったのに、こいつは何だろう。突然変異かなにかか?
「にいさんどうしよう。」
「大丈夫なりよ。とても弱そうだし、こっちには猟銃があります。」
「お前狩りにきたンゴ?助けてンゴ。」
茶色いナンジェーミンは口を開くなりそう言った。そいつは仲間からいじめられていると話した。よく見れば体も生傷がところどころに刻まれていて、くちばしも妙にひしゃげている。
「助けてンゴ。ワイは何もしていないのにナンジェーミンたちがワイの外見を笑ったり
ワイの住処を探っていたずらしようとしとるんや。きみらは人間なんですよね?人間やったら
悪いナンジェーミンたちをこらしめてください。お願いします。なんでもしますから。」
兄さん、かわいそうだよ助けてあげよう。と弟がいった。
「そうナリね。」と僕はうなずいた。
「誰がワルイモノなりか?」僕は茶色のナンジェーミンに尋ねた。
「全員ワイル奴らンゴあいつらまとめて潰すンゴ」
茶色いナンジェーミンはそういってくちばしをカチカチと鳴らした。どうやら笑っているらしい。
ナンジェーミンたちは大きなグラウンドで楽しそうに白いボールを追いかけている。彼らは茶色のナンジェーミンにひどいことをしたのだろうか。いや、僕は茶色のナンジェーミンの主張しか聞いていない。あれの主張は一方的であいまいなものだった。むしろ茶色いナンジェーミンがなにかしたから、報復としてひどい目にあっているではないのだろうか。面倒になって僕は考えるのをやめた。茶色のナンジェーミンがどうなろうと僕には関係ない。今日はナンジェーミン達を狩って解体し僕らの家にその肉を持って帰る。それさえできたら後はどうでもいい。