「狩り」 (20)

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2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/08/17(水) 09:59:38 ID:pnMSPPqo


 僕らは子共用の猟銃を持って外へ出かけた。日向に出たとたん太陽が眼を焼いてちゃんとモノが見れるようになるまで2783秒もかかった。用水路のある大きな道路を左に進み、なだらかな坂を越え、獣道にはいる。ほうぼうに生えた若木に邪魔されながら、なんべんも青い草を踏み分けていった。しばらく歩くと大きく開けた土地がある。そこにはたくさんのナンジェーミン達が集まっていた。2,30匹はいるだろうか。

 僕たちは一度間違えてここに迷い込んだことがある。臭くて汚い場所だから怖くてすぐに逃げてしまった。
ナンジェーミンたちは白い球のようなものを追って遊んでいた。遊んでいるナンジェーミンを眺めるだけのナンジェーミンもいてそいつらはときどき遊びをしているナンジェーミン達に向かって大きな鳴き声を上げていた。白い餅に似た奇妙な生き物を棒切れで殴って遊んでいたり。端っこで自慰をはじめたやつらもいた。今広場を見ると白い餅に似た生き物がいない以外、弟と覗いた当時とナンジェーミンたちの様子はあまり変わっていないようだった。

 ナンジェーミンが群れて遊んでいる広場の隅に僕たちはいた。背の低い木が集まった場所に足音を立てないように近づき獲物を狙うのにちょうどいい位置を探す。見晴らしがいいからここで十分だよ。弟が言った、ナンジェーミンたちが僕らから見えないように体の位置を調整する。
 これできっと大丈夫だ、子共用の軽い猟銃を肩からおろし。お互い無言で目を見合わせる。弟が少しだけ口を開いて、にいさんここならかりほうだいだ。と声にならない声で囁いた。