2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2016/08/11(木) 18:22:57 ID:FYEvlpWU
ここまで本当に長い道程だった。自身の未熟さを何度も憂いた。臥薪嘗胆。臥薪嘗胆。
「どうぞ。」
Y本、Y岡の2人とは汗を、涙を、汁を流しあった。報恩謝徳。報恩謝徳。
「空は何色か」
「優しい色です」
「ありがとう。」
「ありがとうございます。」
装置に乗り込む。
ギュイイィィィンンン---
「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!)」
放射線はKを豹変させた。それと同時に肛門から勢いよく出た糞は装置の内部を瞬く間に埋め尽くした。
脱糞の勢いは増していく。
頑丈に密閉されたはずの装置は通常ならガスの0.0001mgすら外には漏らさないが、Kの糞の前にはまるで無力だった。糞の粒子はこの世界のあるゆるものより細かく小さかった。装置がビッグリップを起こす。新しい元素が生まれる音より大きく、速く、糞は駆け抜けた。
やがて地下室を満たし、事務所から溢れ出てきた。それに触れたものは全て素粒子レベルで崩壊し、糞に吸収されていく。人も、建物も、植物も、等しく。百数十分で東京を覆ったそれは、それだけでは飽き足らず千葉県や群馬を飲み干す。
京都が今まさに溶けようとしていたその時、糞の勢いは数百倍に増した。富士山の肛門からマントルのエネルギーを得たのだ。
アフガニスタンの貧しい子供がゴミを拾おうとしたその瞬間、糞は既に過ぎ去っていた。そこには原爆のような影すら残らない。糞は等しく飲み込む。
無慈悲か?いや、慈悲に溢れている。慈悲しかない。
1時間もしないうちに地球を飲み込んだ糞は引力を持っていた。月が、火星が、太陽が―――。
ブラックホールから別の次元の宇宙へ到達する。糞は光の速度を越え、無限の質量を持っていた。やがて銀河を、時空を飲み込む。グラハム数を飲み込む。全てを、天地万物、何もかも。
糞が本当に全てを飲み干した時、糞は糞自体の引力によって一点に凝縮された。見えるか見えないか、あるかないかの一点。
そこにもう一つの点がゆっくり、それでも確実に近寄る。Kだ。Kは糞を出し終え、新たなる宇宙を創世しようとしていた。
「優しい世界を」
絶対真空の中でそう呟いたかどうかは定かではない。が、糞の中のY岡は聞いていてくれたか……?
平等な世界を真に望んでいたならば宇宙など作らなければいい筈である。だが、唐澤貴洋も人間であった。不平等な存在が平等を生み出すことなど不可能である。熱力学第二法則然り。
Kが糞点に触れる。
刹那、爆発。
……