十日間の神さま (17)

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5 - 5 2016/07/29(金) 00:51:37 ID:5dYV/pNE

「おはよう、山岡くん」
 愛しい神さまの声でやってくる、いつもと同じ目覚めは、いつもと違った。からさんの隣に、なぜか洋さんが立っている。からさんは後ろで手を組み、僕を見下ろした。
「九日間、よく頑張りましたね」
「……九日?」
「そうですよ」
からさんは微笑む。たったの九日? 九年の間違いではないのか。
「今日はきみが今度こそ間違った選択をしないための試験です。今から洋に、きみを強姦させます」
「……何を言っているんですか?」
まるで、理解できない。なぜそんなことをしようとする?
 からさんと洋さんを交互に見たが、からさんは微笑んだまま、洋さんは無表情で黙っている。洋さんが僕に近付き、思わず身体を引いた。手錠をかけられ、恐怖で動けなくなる。強姦? どうして? 僕の罪とはなんだ。僕はそんなに重い罪を犯したのか。
「それでは山岡くん、お別れですよ」
僕に背を向け、ドアに手をかけるからさんに振り向いてくれる気配はない。
「嫌だ……嫌だ! 嫌だ、行かないで、行かないでください!」
僕を見て!
僕を見て!
僕を見て!
僕は叫んだのに、無情にも扉は閉まった。涙が溢れてきた。洋さんが僕に跨る。これから始まることを僕は、知っている。
 自分を守るため、からさんのことだけを考えるよう努めた。洋さんが僕を蹂躙して僕の心がばらばらになっていくのが分かったけれどそれは考えないようにした。余計なことをかんがえて、いいことなんてひとつもない。
笑うからさんのこと、優しいからさんのこと、ぼくを大切にしてくれるからさんのことをかんがえた、もっとあいして、あいしてほしかった、ぼくが今まで愛した分愛してほしかった、でもぼくが「からさん」ってゆうと、ひろしさんにぶたれるのでさいごはなんにもわからなくなった。そのあといやな夢をみた。
手くびのがちゃがちゃするのを目のまえにいるやつにひっかけておもいっきり力をいれたらうごかなくなった。ぼくはゆめでわるいことをした。だからきっとまた明日から再きょういくをうけるのだろなとおもってうれしくなた。ぼくはわらう。そしてぼくはおもいだした。からさんの、あまいにおい。