十日間の神さま (17)

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4 - 4 2016/07/29(金) 00:49:23 ID:5dYV/pNE

「痛かったナリか?」
痣を指でなぞられる。からさんに優しくしてもらえることが嬉しくて嬉しくて、僕は何回もキスして、何回も好きです大好きですと言った。愛しいひとと身体を重ねる喜びを僕は思い出した。
からさんの使っている甘いフレグランスの香りで、頭の中が多幸感で満ちる。ローションで解された穴にゆっくりと挿入が始まった瞬間に僕はもう射精してしまった。からさんは苦笑し、僕を少し休ませるとまた身体を繋げてくれた。
……。

二人で横たわり、僕は胎児のように身体を丸めている。
「あなたのようなひとが、僕なんかに触れていてもいいのですか」
僕の言葉にからさんは眉を下げた。
「必要以上に自分を卑下するものではないナリよ。そんなの当職も悲しくなっちゃうからやめるナリ」
「はい……」
「そろそろ終わりにしましょうか」
「……何をですか?」
「再教育です。もう充分でしょう」
「……」
「次で終わりにします。今日はゆっくり休んでください。それでは」
「もう行ってしまうんですか?」
まだここにいてくれませんか、と僕は上半身を起こし、立ち上がったからさんを見上げた。
「寂しがりやさんナリね。いいナリよ」
彼は再び横になる。裕明くん、と名前を呼ばれた。下の名前で呼ばれることは滅多にないから僕は目を見開く。当職もきみが好きナリよ、とからさんは続けた。瞼がじわっと熱くなって、「もう一回言ってください」と僕は懇願する。
「もう一回、とは?」
「今言ったことを……」
「私は何も言っていませんよ」
からさんは首を傾げ苦笑しただけで、二度と好きとは言ってくれなかった。なんて意地悪なんだろう。
でも、からさんは僕に新しい首輪をくれて、丁寧に嵌めてくれた。嬉しかった。これは僕がからさんの物であるという証だ。僕は首輪を撫でながら、久しぶりにぐっすりと眠った。