十日間の神さま (17)

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1 - 1 2016/07/29(金) 00:35:23 ID:5dYV/pNE


十日間の神さま


  カチ、カチ、カチ。
ここはいったいどこだ? 時計の音で目を覚ました僕がいたのは、自分の部屋ではなかった。数十秒前までの僕は、長くて、悪い夢を見ていた。眠っていたというより、気絶していたと言った方が正確だろう。胃がむかむかするうえに全身の関節がひどく痛む。眼球だけ動かして部屋を見回した。灰色の壁、床に敷かれたマットレス(僕はここに、手錠をかけられて横たわっているようだ)、小さなテーブル、パイプ椅子。むき出しのトイレとバスタブ。頑丈そうな扉。窓がなく、いまが昼なのか夜なのかわからない。時計は無かった。エアコンの音がやけに大きく耳に響く。
 僕は犯罪に巻き込まれたのかもしれない。扉はあるのだから早く逃げた方がいいだろう。だが、犯人が凶器を持っていたら僕に勝ち目はあるのだろうか? 第一、どうやって連れて来たんだ? おとなしく従っていた方がいいのでは……? もやのかかった頭で自分の置かれた状況を整理しても余計に混乱するばかりだった。ギッ、と硬い音を立てて扉が開いた。
「おはよう山岡くん」
「からさん?」
 からさんは目を爛々と輝かせ、僕の目の前に立った。
「なんですか、これ……外してください!」
手錠のかけられた手首を彼の目の前に差し出す。しかし、彼は外すどころか、再教育ですよ、と理解の及ばないことを言い僕に首輪まで嵌めた。まるで犬だ。屈辱のあまり言葉を失い、自分の首に嵌ったものを確かめるように触ってしまう。
「覚えていないかもしれませんが、きみはとんでもないことをしたのですよ。よって再教育が必要と判断しました」
「とんでもないことって……」
「質問と私の許可を得ない行動、それから自殺は禁止します。しっかり罪を認識しなさい。」
「罪って……?」
思い切り脇腹を蹴られ、僕は床に転がった。ぐりぐり頭を踏まれる。
「質問は禁止と言ったでしょう。きみの脳はなんのためにあるのですか。自分で考え、答えを見つけなさい」
ごめんなさい、と答えるしかない理不尽な暴力に更に混乱した。馬乗りになったからさんに殴打を繰り返され、口の中が鉄の味で満たされる。僕が何をしたというんだ?
「残念ですがあなたの人権はもうありません」
 からさんは僕の頭をつかんで起き上がらせた。自分のベルトに手をかけ、露出したあれを僕の口に押し込む。それはすでに完全に勃起していて、喉の奥のほうまで達した。息ができない。ふぅふぅ呼吸しながらからさんは僕の頭を掴み激しくゆすった。
「んんっ、はふ、んんん」
「いいですよ山岡くん、とても気持ちがいいです」
唾液がこぼれて伝い落ちる。喉の奥に加えられる刺激はあまりにも苦しくて頭がくらくらしてきた。こんなふうにされたのは初めてだ。からさんはいつも優しくて、僕にフェラチオを強要したりしない。いったい、僕の何が気に食わなかったんだ? 早く終わってくれ、と願いながら嘔吐感に耐える。涙が浮かんできた頃、からさんは手を離して僕を突き飛ばした。マットレスの上に再び倒れこんだ。深く呼吸する暇もないまま、からさんは僕の股間を踏んだ。叫びは声にならない。
スラックスの上からぎゅうぎゅうと足で圧迫しながら、からさんは「おや」と愉快そうな声を出した。
「立ってきていますね」
 馬鹿な。
「ほ、本当にやめてください、どうしちゃったんですか……ひぐっ!」
「きみは自分がマゾヒストであることも知らなかったのですか」
思い切り体重をかけられまた息が止まる。
「いた、痛っ、やめてくださっ……」
 やめてやめてといいながら、頭が恍惚としてきたのがわかる。痛みが全て快楽に変えられていく。
 どこから取り出したのか、彼はハサミで僕の服を切り裂いた。思いきり足を開かされる。少しも解されていない肛門にいきなり挿入され僕は絶叫した。
「あっああっ! ふぅっ、ううっ……」
 からさんは思い切り腰を引き、思いきり突き上げた。ぎゅうう、と中に押し付けるようにして体重をかけられる。僕の身体はびくびく痙攣した。からさんは僕がどこに反応するのか全部知っている。
「だめになっちゃいます、ひゃめてくらさいぃ……」
「やれやれ、もうすっかり性処理便器ですね。さあ、しっかり孕みなさい」
 声が遠い。注ぎ込まれる生ぬるい感覚。
僕は意識を手放した。