2 - 2/5 (sage) 2016/06/20(月) 05:29:31 ID:0dgomoPw
Tはある日、目に付く誹謗中傷を全く別の内容にこじつけ始めるようになった。
例えば「無能」と言われたら「脳がないと人はどれくらいの重さか」と考え、急に頭を体重計に乗せて重さを計ろうとする。
あまりに支離滅裂で傍から見れば気が触れたとしか思えないが、本人にとってはただ耐えるよりずっと楽であるらしい。
いつしか彼はこのような“こじつけ”に依存するようになっていった。
「はい、これ。Tさん宛ですよ。」
同僚のY岡が抱えている荷物からいくつか手紙や封筒を抜き出し、デスクの上に置く。
Tは配られた手紙と封筒に目を向け、すぐさまそれらの選別を始めた。
手始めに一番上にあった宛名しか書かれていない手紙をめくると、案の定自身に対する心ない中傷であった。
『こんにちは親のすねかじり虫!早く開示しろバーカ』
Tは早速、中傷の“こじつけ”を開始した。
親のすねかじり虫。果たしてこんな名前の虫が居るのだろうか。
名前だけで判断するならあまりにも滑稽だが、“ゴミムシ”がゴミ溜めでよく見つかるから名付けられたように、生物の名前は案外安直だったりするものだ。
なら“オヤノスネカジリムシ“は文字通り親のスネをかじっているのだろうか。
居るのなら何故親のスネをかじるのだろうか。
それは、当職が“オヤノスネカジリムシ”になってみれば、わかるのかもしれない。