ボイド (7)

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2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2016/05/12(木) 00:27:56 ID:TgDjNpfo

『オール・ザ・アダーズ・ガスト』。
ペルソナル・ナルラタイブ系統の薬物で、ペルソナル・ナルラタイブの効能に見られなかった他者への攻撃性が追加されているとても危険な薬物だ。
他の危険な薬物の場合、薬物の快楽効果が切れた後我慢出来ずに他者に対して攻撃的になるが、オール・ザ・アダーズ・ガストの場合効果中に他人に攻撃し自分への関心を得ることが快楽に繋がるため、その攻撃性は比ではない。
ある若者がその効果により通りすがりの会計士を包丁で刺し殺し、その死体の肛門で性行為を行うという猟奇殺人事件まで起こった。

ヘロインは薬物の王様と言われているが、結局はその使用者だけが被害をうけ(買うために盗みや強盗をする場合もあるが)、周りにはあまり影響はない。
だが、オール・ザ・アダーズ・ガストは他者への攻撃を糧とするため確実に使用者以外にも被害をもたらす。さらには使用者の意識は他の薬物のように失われることはなく、どうすれば他者を攻撃できるのか考えることが出来る。それらが重なることでより凶悪で狂気的な事件がおこってしまう。これはゾンビ映画のゾンビよりもタチが悪い。
ペルソナル・ナルラタイブ系統の薬物がどこでどうやって作られているのか、どのようなルートが直通なのか(ペルソナル・ナルラタイブ系統の薬物売買ルートはこれまでのものより一層複雑化されている)は未だに解明されていないため、オール・ザ・アダーズ・ガストの広まりも時間の問題と言われていてる。
快楽度でいえばヘロイン等には劣るが、使用者の大半はオール・ザ・アダーズ・ガストの攻撃性ともう一つの効果に目をつけている。
それこそが超越神力である。人間は通常肉体を維持するために筋肉を30%、脳を20%ほどしか使っていないと言われているが、オール・ザ・アダーズ・ガストを使用するとそれらを引き上げることが出来るのだ。例えば先ほど例に挙げた猟奇殺人事件では犯人が会計士の腕を素手で引きちぎったと報告されている。
筋力の解放には激痛が伴うがそれをカバーするのが薬物のもつ快楽性だ。
攻撃することで痛みが発生する、その痛みを薬物の快楽で補う、より快楽を欲しますます攻撃的になる
この悪循環が使用者を薬物の深淵から逃すまいとしている。
オール・ザ・アダーズ・ガストの使用者は主に快楽攻撃を好む者(日頃から誰かを虐めていたり、生き物を殺すことに快楽を覚える者)と、何らかの復讐をしたいと考えている者である(女性であっても男性に勝る力を超越神力によって得ることができる上、罪悪感や自制心を快楽でかき消すことが出来る)。

残念ながら猟奇殺人事件を起こした犯人は射殺されており話は聞けなかったが、使用者の1人であるいじめられっ子の少年に話を聞くことが出来た。
この少年を虐めていた男子を少年は素手で殺したのだ。ひ弱ないじめられっ子だった少年が、だ。
少年は自分の中に眠る力がヒーローのように覚醒したのだと自慢げに語っていたが悪で悪を滅したところで残るのは結局悪である。

インターネット上ではオール・ザ・アダーズ・ガストの使用者による殺害予告が流行っている。
「〇〇〇〇殺す」
という殺害予告を掲示板で行い、後日本当に殺害するというものだ。これまで何十件かの事件が殺害予告後に発生している。殺害予告されているのだから未然に防げないのかと警察は世間から強い風当たりを受けているが難しいだろう。

オール・ザ・アダーズ・ガストの使用者ではないがおもしろ半分で若者が真似をして無差別に殺害予告をするというゲームのようなものが流行っている。これも警察がしっかり動けない原因のうちの一つだろう。

政府はペルソナル・ナルラタイブ系統の薬物を超危険薬物に指定すると同時にインターネット上での殺害予告者を一斉逮捕すると発表したが未だに薬物のルートが掴めていない・殺害予告が本当かどうか見極められていないらしい。愚かな若者で検挙率を上げたところで治安は良くならない。
やはり私が研究をしっかり進めることが一番の解決策であろう。