1 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/03/12(土) 12:02:35 ID:Zh9JtOcY
チャイムが鳴る。
現れたのは懐かしい顔。
山本くん久しぶり、DIO以来ナリか、と声をかける。
刹那、世界が傾く。
否、自分が斜めになったのだ。
床に倒れて頭を打つ。
殺気を孕んだ影が近づく。
そういえば何故か左胸が痛い。
「どうしてナリ…山本くん…」
滴る血液。
「あなたが」
その声は、
「山岡さんをたぶらかしたから」
堪えようもないほど、
「オナニー狂いになった山岡さんは東大の院にも行けず」
怒りに満ちた、
「こんなチンケな所で働く羽目になったんだッ!」
憎悪。
「待つナリよ山本くん…当職よく分からないナリ…」
「あなたがいなければ!」
悲鳴。
「山岡さんと僕は同じ院を出て!」
嗚咽。
「ずっと一緒にいられたのに!」
慟哭。
「あなたが山岡さんをたぶらかしたから!」
涙。
「僕はあなたを殺さなければない!」
人が人でなくなる。
「死ねッ!」
刃がめり込む。
人が肉になる。
「…僕を捨てた男の最愛の男は殺した」
ならば。
「その思い出ごと焼き払ってやる」
ガソリンの臭い。
「山岡裕明呪う」
きな臭さ。
激痛。
のたうち回る。
彼らの思い出の詰まった全てを焼き尽くせるように。
ハセカラ騒動を終わらせ、山岡裕明が真っ当な人生を送れるように。
…ああ、やっぱり…心のどこかでは…愛しているんだな。
山岡さん…。
その声は、声なき声にしかならなかった。
駆けつけた警察官が見たものは、燃え盛る建物と、長身の男の慟哭だった。