ツツジの花は春に咲く (20)

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2 - 2/3 (sage) 2016/03/11(金) 17:49:59 ID:.LxphPw.

「……どう、して」

 喉から出たかすれ声は、今にも泣きだしそうな曇天に吸い込まれていく。

「ごめんねぇ」、目の前の小男がえへ、と笑ってみせる。「当職、飽きちゃったナリ」

 昨日までは愛しくてたまらなかった笑み。昨日までは僕だけが見ることのできた笑み。

「当職、Yくんにもう、飽きちゃったナリよ」

 昨日までは愛しくてたまらなかった声。昨日までは僕だけにかけてくれた、少し高い声。 
 
 ――どうして、今日は彼のすべてが、こんなに残酷に感じられてしまうんだ?

「僕の……なにが……」

「Yくん、お別れの時間ナリよ」

「K……」

 ああ、どうして人間は心をいちいち言葉にしなければならないのだろう。
 すでに力の入らなくなった両足を地にすりつけ、這いつくばるようにしてKのもとに寄る。

 僕とKがこんなに簡単に、こんなにあっさりと終わるわけがないんだ。
 僕らはあれほど濃密な時間を過ごしたじゃないか。
 そうだ、こんなに単純に終わるわけがない。
 話し合えばきっと戻れるさ。話し合えば――

「Y、いい加減にしたらどうだい」
  
 冷たい声が僕の動きを止める。