2 - 2/3 (sage) 2016/03/11(金) 17:49:59 ID:.LxphPw.
「……どう、して」
喉から出たかすれ声は、今にも泣きだしそうな曇天に吸い込まれていく。
「ごめんねぇ」、目の前の小男がえへ、と笑ってみせる。「当職、飽きちゃったナリ」
昨日までは愛しくてたまらなかった笑み。昨日までは僕だけが見ることのできた笑み。
「当職、Yくんにもう、飽きちゃったナリよ」
昨日までは愛しくてたまらなかった声。昨日までは僕だけにかけてくれた、少し高い声。
――どうして、今日は彼のすべてが、こんなに残酷に感じられてしまうんだ?
「僕の……なにが……」
「Yくん、お別れの時間ナリよ」
「K……」
ああ、どうして人間は心をいちいち言葉にしなければならないのだろう。
すでに力の入らなくなった両足を地にすりつけ、這いつくばるようにしてKのもとに寄る。
僕とKがこんなに簡単に、こんなにあっさりと終わるわけがないんだ。
僕らはあれほど濃密な時間を過ごしたじゃないか。
そうだ、こんなに単純に終わるわけがない。
話し合えばきっと戻れるさ。話し合えば――
「Y、いい加減にしたらどうだい」
冷たい声が僕の動きを止める。