4 - 4/6 (sage) 2016/03/04(金) 13:09:37 ID:iJxOtsJI
実に嫌なタイミングであるなあ、と思いながらもしぶしぶ瞳を開けると、やはり風俗弁護士ことKNS先輩が眼前に立っていた。
「なんだ生きてるのかクソデブ。トドみたいにソファに転がってるから、ついに無能をこじらせて死んだのかと思ったぜ」
「何しに来たナリか」
「暇潰し」、どさりと向かいに腰かけると言う。
「帰れナリ。ここは暇潰しスポットじゃないナリ」
「ああ、無能は心が狭いなあ」、先輩は言うとやれやれと大袈裟に肩をすくめてみせる。「ベルトの穴は年々広がってるくせに、どーしてそうも狭量になれるんだかね」
相変わらずマシンガン罵倒に定評のある御人であるが、「狭量」とまで言われて流石にカチンと来たので言ってやることにした。
「当職の度量は広いナリよ? ついさっきもそう言ってほめられたばっかりナリ」
「お前がほめられる? 連続仕事時間記録でも恒心したのか?」
「違うナリ。カラニーを認めたナリよ」
途端、先輩は両目を見開いた。
ほほう、なかなか貴重な表情が見れたものだ、と当職は内心にやにやする。
どうも《カラニー》というのは絶大な威力を発揮する言葉のようである。
当職が認めることが大きな影響を及ぼすということは、やはり有能弁護士が関係しているのであろうか?
「へえ、お前……カ、カラ……アレ、認めてるのかよ」
「当然ナリ。有能弁護士としてそのくらい認めずしてどうするナリか?」、小指で耳をかきながら当職は言う。
「ふ、ふーん、お前がなあ」、先輩は腕を組む。気のせいか少々顔を赤くしているようである。「カラ……ああいうの、結構精神的に来ると思うんだが」
「当職の鋼メンタルはその程度ではぶれないナリ。意外と業務に影響はないですしね、実は」
「まあ、そのなんだ」、先輩は落ち着きなく部屋中あちこち視線をやりながら言う。「それは結構、根性あるじゃねえか、うん」