2 - 2/6 (sage) 2016/03/04(金) 13:05:22 ID:iJxOtsJI
はていったい件のカラニーとはなんであろう、と思う当職を置いて、「カラニーには何をお使いに?」とYくんが客にたずねる。
「私は基本的に想像だけでいきますね。モノに頼るようではまだまだですよ」
ほほう、とYくんは感心したような表情を浮かべてみせる。
「なかなかの上級者でいらっしゃる。僕は画像や文章を併用しないとなかなかうまくいかないんです。途中でなえちゃって」
――さて、さっぱり見当がつかない。
談笑する2人をよそに、当職はとりあえず情報を統合してみる。
1.カラニーとは何かしらの画像や文章を使用したりしなかったりするものであるらしい。
2.何も使用しないで想像だけでいくほうが上級者として評価される傾向にあるようだ。
3.でもYくんは併用しないとなえてしまうらしい。
4.2人に共通することとして、カラニーをすればとてもすっきりするらしい。
……ふむ、やはりわからない。
こういうときは甘いものを食べて脳を活性化させるに限る。茶菓子に手を伸ばした当職の脇で2人の会話がつづく。
「実は昨晩もしちゃいましてね」
「へえ、ちなみにどんなご想像をなさったので?」
「例のところの書き込みをもとにしました。いいネタを書いている人がいましてね」
「ああ、あそこですか。僕もよくお世話になるんですよ」
《書き込み》という単語が出てきた。
ふぅむ、と当職は茶菓子を頬張りながら考える。
書き込みというのは現代において、インターネッツの掲示板におけるレスを指すことが多々ある。まあ凡人なら知らぬだろうが、ネットに強い当職は知っているのだ。
それではひょっとするとカラニーというのはITに関する言語であるのだろうか。iモードIDなどが関係しているのであろうか?
「Kさん、Kさん」とそのときYくんに声をかけられた。慌てて口の中の茶菓子を飲み下し「なにかね?」と威風堂々たる声で返答する。
「Kさんはカラニーについてどう思われておられるんですか?」とYくんは微笑みながらたずねてくる。
「ああ、それは私も気になるところですね」と客が同調する。
さて、少々まずいことになった。カッターシャツの脇下に汗がにじみでてくるのを感じる。
ここで「わかりません」ではあまりに不格好だ。さりとて、適当なことを言えば「一同:決まっていない」などという過去の過ちを繰り返してしまうかもしれない。
「あ、ああ……カラニーね。うん。当職としては、なかなかいいと思うナリね、うん。自由だからね。そういうのはね。いいじゃあないか、カラニー」
「へえ、Kさんは度量が広いなあ」とYくんが感嘆した声をあげる。
――よかった、どうも正解のようだ。
「まあ当職だからね」、当職は胸を張って見せる。「その程度のことでは、築き上げてきた臥薪嘗胆の日々は崩れないナリよ」