2 - 初投稿です 2016/02/26(金) 02:24:27 ID:la6FpAUA
Tの一日は、トンスルの下ごしらえから始まる。
まず、ファーストフード店に駆け込み、ビッグマックのLセットを2783個注文。
Tはそれらを一気にかきこむと、一旦事務所へ戻り本業に専念。
夜になって自らの飲食店に暖簾を出す。客から注文が入り次第、その場でトンスル製造に勤しむという寸法である。
「作るのは、注文を受けてからです」
Tは語る。
この日も、馴染みの客から注文が入る。Tはすぐさま全裸になり、店のカウンターに置いてある大きな桶にまたがった。彼は顔を赤らめて唸る。両足が小刻みに震える。暫くして、
ブリッ…….ニュルル……..ボトボト………ブリュリュリュ!!!!!ブチチチチチチチ!!!!!!!!!
店中に快音が響き渡る。客も、笑顔で拍手を送った。
桶に溜められた「材料」をもとにトンスルを作るのは、H氏。Tの実父である。
Hもまた、全裸で語る。
「トンスルはとても繊細。高度な技量がないと扱えません」ブリッ.......
Hは素手で「材料」をこね、自らの尿と秘伝の薬味を加え、名物のトンスルを製造する。
この作業を機械化することはできない。糞と尿と薬味、これらを絶妙なバランスで調合し、
最高の味を引き出すためには、肌感覚でトンスルの状態を確かめることが求められるからだ。
できあがったトンスルを、指先でちょんとすくって、ちゅぱっと舐めるHの姿は、少しお茶目に見えないこともない。
このトンスルの評判は、瞬く間に全国へと広まった。
「飲みやすく、一杯目からいける画期的なトンスル」
「たまにピーナッツやトウモロコシが混ざっているのもキュート!」
女性誌を中心に、様々な媒体を通じて紹介され、観光客も増加。この街の地価も上がり始めた。
遠く兆海道からこの店を訪れた作家の男性は、
「あぁっ、糞酒……美味しいです。」
「Kの国は嫌いでしたが、こんなに美味しいお酒を飲んだら、まあ、好きになるっきゃないかー」
などと半笑いで語った。
半万年の歴史を持ち、様々な事象の起源とされる、Kの国。
そんなKの国と我が国の未来を取り持つのは、Tなのかもしれない。
ここは東京、ナリアンタウン。二国間の文化交流の中心地である。