Kの国 (65)

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8 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/01/30(土) 18:09:10 ID:Av5f203M

小関直哉がハッと顔を上げた。 何を言うつもりだという不安な顔で唐澤貴洋を見る。

「これは小関くんのミニブログ、いわゆるツイッタハァでの活動ログです、当職はあなたという人間を知っておかねばならないと思い一通り読ませていただきました」
唐澤貴洋がそういいながら資料の紙をヒラヒラと前に突き出すと、小関直哉は急にやめてくれ、気が付かないでくれとでも言いたげな神に祈るような顔をし始めた。 ヒットマーク。

「小関くんのツイッタハァは、一見すると自分語りと権威への擦り寄りに満ちているようです。 しかし同時に、当職は小関くんが奮戦の末散っていった艦艇のエロ同人誌でオナニーをし、そのことを報告していたのを見逃しませんでした。 例えば小関くんが特にチンビンしたこの艦艇においては最終的に約五百名が戦死しています」
「まさか、まさか」
裁判長が何かに気づいたように呻く。

「当職が何を言いたいのかようやく分かって頂けたようですね。 当職は自慰行為ツイッタハァ報告自体の価値を否定するつもりはありません。 あくまで整合性の問題です。 そうです、小関直哉くんが本当に日本人であることに誇りを感じていたのなら����まして先人を本気で称えていたのであれば����『悲劇の艦艇の二次エロおねショタ同人誌で自慰行為に及び、あまつさえ射精し、あまつさえそれをツイッタハァに報告など出来るわけが無い』のです」

「ならばっ! 小関直哉の犯行の動機は何だったというのですか! 彼は一体、何にプライドを持ち日々を過ごしていたと言うのですかっ!」
なおも食い下がる検察官。

「我々恒心国民と同じく、『自分自身に』ですよ、検察官」
「そんなバカな、そうだとしたらあんな腐った生ゴミの中に住むゴキブリのような生活が送れる訳がない。 他人の足を引っ張るだけの、こんな社会の足枷の底辺フリーター知的障害児である現実のどこに誇りを感じられたというんだ」
検察官はあまりのショックに狼狽し、自問自答を繰り返す。

「当職が思うに、小関くんは」
「アァ、やめてくれ」
小関直哉が発言を遮り叫ぶ。 しかしその声は唐澤貴洋にすがり付くような弱々しいものだった。

「小関くんは、惨めな自分自身に、"欲情"していたのではないでしょうか」
唐澤貴洋がそう言うと、陪審員も傍聴席も検察官も裁判官もみな、一瞬静まり返り、そして本日最大のどよめきが起こった。

「そう、小関くんにとって日本など、社会など本当はどうでも良かったのです。 先程の叫びも、本当の自分を隠したいが為の単なる防衛反応だったのです。 これまでの真っ当な日本の社会人を装った発言は全て、小関直哉くんの理性が日本を隠れ蓑に使っていただけなのです」

「しかし、今回のような他人を挑発し、傷付ける行為は、むしろマゾヒズムの正反対にあるのでは」
裁判官の一人が問う。

「常人の思考ならそうかもしれません。 しかし、思い出してみてください。 小学校時代、いませんでしたか。 他人に構ってもらいたいが為に他人にちょっかいを出す人間を」
裁判長が手を打って、なるほど、と声を漏らす。

「彼が他人を傷付けたのはそれ自体が目的ではありません。 それで恨みを買い、結果としての破滅、それこそが、真の目的だったのです」

「違う、俺は、俺は」
小関直哉が涙をポロポロと流しながら必死に呻く。
「小関くん、違うならそのビンビンにおっ立ったチンポは何なのですか。 裁判が始まり、検察官が君を責め始めてからというもの、君はその豆陰茎をムクムクと増大させ、必死に被告人席の下で亀頭を刺激しようとしていたではありませんか。 当職は見逃しませんでしたよ」

なるほど小関直哉はハーフパンツのポケットに手を突っ込み、周りに露見しないように布越しでペニスを刺激していた。 そして、彼の肉棒は、傍聴席からでも、布越しでも分かるくらいに怒張していた。

「いや違う、違うんです、これはおしっこが溜まってて」
なおも訳の分からぬ言い訳をしながら否認する小関直哉を見て、唐澤貴洋が一喝する。

「……小関くん。 いい加減に認めなさい。 あなたは……あなたは……"マゾ"なのですっ!!!!」
「アイゴオ゛ォオ゛オォ゛オオ゛ォオォオォッオ゛オッオ゛ォ」
叫びながら小関直哉が泣き崩れる。
その小さな陰茎は痛いくらいに勃起し、漏れ出たカウパー液は黒いハーフパンツをおもらしでもしたかのようにぐっしょり濡らしていた。

法廷は、静まり返った。