6 - 6/8 (sage) 2016/01/25(月) 00:07:53 ID:x6x6OrKc
博物館に展示された情報はちょっとずつ変化していた。
東の国のものが増えるのはうれしかったが、ある日僕は西の国のものがとても増えていることに気づいた。
それをたずねた僕に、「需要があるから情報も出てくるのさ」と学芸員はこたえた。
あの奇妙な店の男と同じような返事だ。
「よくわからないな」と僕は言った。「どうしてみんなそんなに西に興味があるんだろう」
「考えてみなよ」と学芸員は言った。「遠くのものより近くのもののほうが、よく見えるものだろう?」
「あたりまえだ」と僕は言った。
「よく見えるということは、それだけ悪いところも見えちゃうものさ」、学芸員は言うと肩をすくめた。「そして人はたいてい、そういったものをオーバーに考えるんだよ」
「それが西の国の利益にならなくとも?」と僕はたずねた。
「ならなくともだよ」、学芸員はうなずいた。
僕は西の国のものを眺めてみた。よく価値はわからなかった。ガラクタばかりだ。
それは僕がみんなのように価値を見いだせないだけなのかな、と僕は考えた。
でもこたえはうまく見つからなかった。