「変遷」 (10)

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1 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2016/01/19(火) 22:47:14 ID:rutrj/6.

弟が他界したのは当職が17、弟が16の時だった。
変に静かな日であったことを覚えている。いや、静寂の音がうるさかったかな。
それ以上に、なんと表現したらいいのかわからないが、色で表すなら儚げな黒色のような。そういう感情が身体中を占めていたことをよく覚えている。どんな感情だったかな。あの色しか当職の中にはなかった。

葬式の時に感じたのは苦しみだった。
人間の死の重み。家族を失う重み。沈む気持ちの重み。何重にも重なったものが、当職の中で軋んで悲鳴を上げていくことをよく聞こえたものだ。
葬式自体は覚えていない。当職は最近手順を詳細に知った程度だったのだから。
周囲の色がくすんで見えたことも覚えている。涙ではない。涙で色は落ちたりはしない。