2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2015/12/28(月) 19:02:18 ID:kn/nM4M.
勤務初日、私は牧場の敷地内にいくつもある内の、ある一つの畜舎に案内された。
畜舎というと通風性のある解放的な建築を想起するだろうが、案内されたそれは全く密閉された掘っ立て小屋だった。
外から見ていても、内部のじめじめさ、陰鬱さが容易に予想できる。
コケと水垢で濡れた扉に手を掛け、引いて開けてみた。
その瞬間、酷く生ぬるい風が一斉に私の頬を撫でる。
酷いにおいで、これから毎日ここで働くと思うと憂鬱になるほどのものだった。
しかし私はお金をもらって働くのだ。職業人としてこのくらいで怯んではいけない。
自分の鼻を袖で乱暴に押さえ付け、予想通り暗く暑い畜舎内をゆき、手探りで照明のスイッチを探す。
パチッ。旧式の蛍光灯が点滅を始めた。
散発的にあらわになる畜舎内の風景を垣間見、私の身の毛はよだった。
やがて準備運動を終えた蛍光灯が完全に照らした時、それは明らかとなる。
「ゴ,ゴハンノジカンナリカ?」
畜舎内を四足歩行で自由に闊歩する全裸の小太りの男性。私は人間牧場に就職したのだ。