不可視光/しびれ、ときどき、めまい (49)

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8 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2015/11/09(月) 23:37:20 ID:kPaKyqPA

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 映画は確かに《超》刺激的だった。
 人がナイフでめった刺しにされ、車にはカラーボールがぶちまけられ、科学班は声紋を調べ上げて愛のある贈り物を拒むようにポストには貼り紙がペタ、ついでに事務所は爆発する。
 狂ったようにCGを駆使したアクションシーンでは、主人公がヒロインを救うために高層ビルの上を駆け抜けつつ、悪いものと闘いを繰り広げてゆく。
 その世界には、とてもはっきりとした善悪が存在していて、主人公は自分が何をすべきか、どこへ向かうべきかを常に理解していた。
 物語の最後は、主人公が魔の手から救い出したヒロインと抱き合う。優しい世界の誕生。
 それですべてが終わった。
 勧善懲悪、R-15にひっかからない程度のラブ・シーン、予想通りの裏切りからの予想通りのどんでん返し、そしてハッピー・エンド。
 きっちりと型にはめられて、上からコンクリートを流し込まれたような映画だった。
 全米チャート1位だか誰かの退屈な歌が流れるスタッフ・ロールのあいだに、800円のパンフレットを破り捨てたくなる程度には、とてもつまらない映画だった。
 でも、きれいな起承転結だ、と僕は思った。
 それは少なくとも、僕らの日常には存在しえないであろうストーリーだった。

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