現実 (12)

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2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2015/11/05(木) 08:45:52 ID:L8Wipo1s

僕がネットで弁護士の癖に新興宗教じみた文章を垂れ流していたことは知っているだろ? 
僕は悔しかったんだよ 人を苦しめても、騙してもなんとも思わない人間がいる事が 僕の弟を殺してのうのうと生きてる奴がいることが
そんなクズ共を弁護士の肩書きで支配してやりたかった。奴らの化けの皮を剥いでやりたかったんだ。
人が人に優しい世界なんてどこにもないのさ 父さんは僕のことを何も分かってなかった。分かってくれなかった。
山岡くん 君も本心では僕の事をバカにしていたんだろう?無能だって笑っていたんだろう?動画やスレを見て笑っていたんだろう?ナリナリナリナリ!あはははは!!

僕は狂ったように笑う唐さんの乾いた瞳を見つめたまま、何も言い返すことが出来なかった。

退院した唐さんは、もう以前の唐さんでは無くなっていた。
まず事務所の応接室に引きこもるようになった。少ない食事とトイレの時以外は出てこない。
依頼人が来ても引きこもったまま出てこない為に、依頼は僕がもっぱら対処することになった。
主に応接室では死んだようにずっと寝ているか、パソコンの画面を死んだ目でじっと見つめているかだ。
幸い僕が応接室に入ることは気にならないらしく、パソコンで何を見ているのか気になった僕は唐さんが寝ている隙に覗いてみた。

暴れん坊会計士掲示板…?なんだこれ… うっ…!
その正体を知ったとき、僕は思わず吐き気を堪えた。
そこには今は無き唐澤洋氏や唐さんが創作の官能小説の登場人物としてあられもない痴態をさらしていたのだった。

「見たナリね」

唐さん…? 何なんですか?その喋り方は… それじゃ、まるでネットの… それにこれは一体…

ナリナリナリナリナリナリイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!
突然奇声を上げて暴れ出し、応接室のあらゆるものを壊し始めたかと思うと、今度はまるで幼児のように部屋の隅にうずくまり、しくしくとか細い声で泣き始めたのだった。
洋…洋…洋…洋… 
よく見るとズボンから黄色い液体がじんわりと流れ出していた。

山岡くん? 優しい世界って何ナリか? 人が人に優しい世界なんて本当は無いナリ。 仮に優しい世界があるとするならば、それは自己満足の自分だけに優しい世界ナリ。
知ってるナリよ、山岡くん、痴漢冤罪の事件も全部君が仕組んだナリね。 掲示板に当職の情報をリークして神扱いされてたナリね。
山岡くんが当職にできることは何ナリ? 謝罪?いらないナリ。 
当職の優しい世界を山岡くんが作るナリよ。 
当職のオモチャになるナリ。

おもむろに唐さんはズボンのチャックを下ろし始めた。

つづく