マツド・マッド・シンドローム (39)

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3 - 3/6 (sage) 2015/11/04(水) 23:08:45 ID:XYJ5KY/Q

 国際機関から派遣された特殊有能部隊の介入によって素早く進められた調査は、やがてかつてインターネット上で炎上した経験を持つ「少年A」へとたどり着いた。
「なんだこれ、その辺の腐った木か」
「人間です」
 自宅で床オナ中だった彼を強制連行し、精液を分析した結果見つかったのは、まるで男性器のような形をしたウィルス。
 都内の感染者を調査していくと、自分語りを発症した人々からはみな、同様のウィルスが検出された。
 人体にはほぼ影響を及ぼさないこのウィルスが、すべての元凶ではないか。
 そもそもの発生源はどこなのか、という疑問をはらみつつも、とりあえずはそういった結論が下された。
 次に模索されたのは治療法の確立である。
「感染原因を探らねば」
「しかし、どうやって」
「人間を使うしかない。消えても誰も違和感を抱かないような、人間をな」
 ということで、わりと世の中に必要とされていない無職一般ネカマ生保ビッコロリコンラブドール愛好ネトウヨザマホン5年かけて鼠の糞のようなMMDしか作れない男性(50)を引っ張ってきた。
「な、なにをするクマ! やめるクマ! うォォン……!」 
 恐るべき生体実験の結果、この病は空気感染ではなく、感染者の唾液や粘膜を通じて媒介される種のウィルスであると判明する。

「一連の病気を新型のウィルス「chinkoface-virus」によるものとし、この病気を「マツド・マッド・シンドローム」と名付ける。これは単なる性質ではない。病気なのだ」

 そこで国連はT都およびT県の、日本国内からの完全隔離を宣言。
 いささか大仰すぎるのではないか、という意見に、国連事務総長はこうこたえた。

「人は皆、自分語りの危険性を甘く認識しすぎている。自分語りは身を滅ぼすのだ。そしてこのままだと、いずれこの国をも滅ぼすであろう」

 緊急封鎖によってT都およびT県は文字通り「陸の孤島」と化し、その隔離された区域内で勇敢な人たちは治療法を模索し続けた。
 しかし見つからない。抗体はない。感染者は異常な自分語り以外には特に健康上問題は無い。よく食べ、よく眠り、性欲もある。
 むしろ性欲に関しては感染後のほうが著しく増加しているという報告が相次ぐ。おかげでアダルト産業は濡れ手で粟状態だ。
 解決への道のりは暗礁に乗り上げつつあった。手詰まりになった研究者たちは嘆く。いったい、どうすればよいのだ。
 そんなある日、思わぬ知らせが届いた。
 それはT門において健康診断をしていたとある医師によるもので、感染していない人間が発見されたというものであった。
「名は?」
「ここでは挙げられません。既にネット上のとある紫掲示板において『ヴァジラヤーナの観点からして救済の日がきたのだ』『や尊N1』などと騒いでいる連中がおります。
彼らにその名が伝わることがあれば、終末思想を抱く悪いものがナイフでめった刺しにしようと企むかもしれない」
「おいおい、ここは会議室だぞ」
「悪いものはどこに潜んでいるかわからない。かつて、某新興宗教の一件ではそれで大失態があったでしょう」
「我々を信用しないというのか!」
「まあ、待て。今、内ゲバを起こしても仕方ないだろう。きみが直感的に思いついたコードネームでいい。彼の名は」
「……パカデブ、です」

 コードネーム、パカデブ。

 その男はそう名付けられた。