けんま民の誕生 (1000)

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1 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2015/10/25(日) 23:46:02 ID:3c1Ts7zs

スマートフォンで弁護士の動向を観察する掲示板を見ながら運転していると不快な金属音がする。
瞬時に自分の身体が後方への加速度を感じ、そして硬いものに押し返される。
目の前には視界乱すひび割れた硝子、そして歪んだ黒塗りの高級車。
目の前の役割を失った硝子がそうさせているのか、実際に私のせいでそうなってしまったのかの判別ができない。
「君、車から降りなさい」
ドア越しに白髪の顔の整った男性が私に声をかけているのが分かる。
完全に私の過失だ、その自責の念は私を素直に車外へと導く。
「顔を上げなさい」
彼の声は優しい初老の紳士の声だが、どこか威厳を感じさせるものだった。
声に従い声を上げると、顔立ちの整った紳士が目の前に立っていた。
「それを見ていたのか?」
手放さなかったスマートフォンを見咎められ、私は自分自身を責める。
ああ、私は無職になってしまうだろう。臥薪嘗胆民と馬鹿にしていた奴らと一緒になってしまう。
そう思うと足が自分の意思とは関係なくガタガタと震えだしていた。
「怯える事はない、私は慈悲深いからね」
彼は私の頬に手を添える。私は許しを請うようにその手に触れる。
「付いてきなさい、その車は処分しておこう」
彼は私の手を引く。
「もちろん警察には内緒にしておこう、私はそれくらいの権力はある」