台風一家 (8)

←← 掲示板一覧に戻る ← スレッド一覧に戻る

2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/10/09(木) 21:21:35 ID:7BH/OhKo

誤報をリツイートしたので謝ったら、刑事告訴とか懲戒請求すると言ってきた先生かしら。
足を止めた男がポツリとつぶやく。ざわめく人混み。不安が不安を呼び、身を寄せ合う人々。そうしている内にも雲は人々の頭上を越えていき、やがて空の色は消える。
あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!
灰色の街になお響き渡る男の声に、人々は呆然と立ち尽くす他なかった。顔を叩く雨粒など気にも止めないで、その不安に揺れる瞳を暗雲渦巻く天空に向けている。まるですがりつく様に。どこまでも純粋な祈りの様に。
その敬虔な教徒が捧げる深い沈黙に、「男」は声をかけずにはいられなかった。
お元気でなりよりです。
突如として響いた陰鬱な声に、人々は体を強張らせた。迷い子たちの視線の先で、灰色の雲が押しのけられていく。遥か地平まで揺るがす轟音。そうして出来た虚空から、男はヒョイと身を乗り出した。
薄く弧を描いた口元。ふくふくほっぺ。そして、血走ったつぶらな瞳。
とぐろを巻いて絡み合う雲を押しのける様にして、スーツ姿の男が地上を見下ろしているのだ。
人々はただただ身を震わせる。男はその様子を暗い瞳でじっと見つめると、ふと巨大な頭を雲へと引き上げた。そして入れ替わる様にしてさらに巨大な何かを虚空から地上へと突き出した。
それは尻だった。あまりに丸く、あまりに巨大な尻だった。その中心、人と比べるにはあまりに巨大なすぼまりからは、生温い風が吹き付けている。
ふと、男の苦悶が聞こえてくる。みちみちと肉の詰まった尻の輪郭が波打ち、すぼまりが何かを堪えるようにヒクつく。すぼまりはしばらくして一瞬膨らむと、次の瞬間には轟音とともに巨大な質量を吐き出した。
それは暗雲であった。男の尻から吹き出した厚い雲が、とぐろを巻いて空を覆い、地上を薙いでいくのだ。猛烈な突風に、あわれ人々は為す術もなく吹き飛ばされていく。何かに掴まろうにも、ビルも街路樹もコンクリートの地面も、何もかも根こそぎにひっくり返されていく。
その様子を眺めながら、海の底で局部をまさぐる巨大な影があった。腹巻一丁に身を包んだ、局部丸出しの女であった。息子のハレ姿に、応援する手は自然と力が入る。女は外へと大きく広がった大陰唇、その淵をえぐる様に力強くまさぐると、その輪郭を上へと擦り上げ、ついには頂点に爪を引っ掛けるにして弾いた。
海が波打つ。女の体の震えが海表に伝わり、たわんだエネルギーが弓なりになって勃起する。津波である。隆起した海メンが駅のホームも逃げる電車も見境なく貫いて打ち砕き、母なる海へと強制連行していく。響き渡る叫び声は、一つ、また一つと波間に呑み込まれていく。