1 - 実在の団体とは関係はありません 2014/09/26(金) 20:50:23 ID:QpFOKBSc
子は鎹。子に過ぎたる宝なし。
千の倉より子は宝。掌中の珠。
唐澤貴洋は私の生きがいだった。
彼が生まれてから自分が捧げられるものを捧げてきた。
必要なら命すら捧げたっていい。
それぐらいの気持ちで愛していたのだ。
幼い時は本当に可愛くて、可愛くて、そうお姫様みたいだった。
だからお姫様のように育てた。
嫁には甘やかしすぎだと言われた。
しかし、初めての我が子は愛おしくて仕方がなかった。
息子も母親より私に懐いて育った。
しかし、年月が経つと私達家族は崩れていった。
始まりは二人目の息子が産まれた後からだ。
私が唐澤貴洋に注いでいた時間は次男の厚史のために割かれるようになった。
残念ながら兄としての精神が育たなかった唐澤貴洋は、酷く厚史に嫉妬し顔を背けるという結果だ。
息子二人が一緒に遊びに出かけると、厚史だけが怪我をして帰ってくる事があったのを憶えている。それがほぼ毎回だった。
あの時は不審に思わずとやかく言わなかった。
あの時に注意しておけばと後悔してやまない。
唐澤貴洋の我儘な性格は中学生になっても治らない。
厚史とも全く心を通わさなかった。
さらに悲運なことに、この時期に唐澤貴洋は苛めを受けてしまうのだった。