1 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/08/07(木) 22:52:51 ID:pf13jgrI
道沿いを人の群れが行く。子供たちが。親が。サラリーマンが。学生が。老若男女入り混じった巨大な集団は、やがて川沿いへとたどりつく。様々なコミュニティに属す異なる人々はしかし、決まって和服姿で渦を巻いている。
人々のざわめきに、黒い川面がさざめいて揺れている。黒々とした空。時間は刻一刻と過ぎ、不意に何かが横切った。
揺れる水面を走った光は、同時に空へと打ち上がり轟音と共に弾けた。夜空に咲いた大輪。一瞬の輝きの後、端からかすれて消えていくそれに人々はすがりつく様にして歓声をあげている。
今日は花火大会なのだ。華々しく散った一発目を皮切りに、色とりどりの花火が川面を、人々の面を照らしていく。一同は顔に笑みを浮かべ、次へ次へと期待を膨らませているのだ。
その人混みに、ふと、妙な匂いが漂い始めた。最初は、花火に引火したのか、ガスが漏れてるのかと人々は口々に言ったものの、どうやら違うらしい。妙に酸っぱい様な、苦く湿った匂いが、人混みを抜けて漂っている。
不意に、誰かが叫び声をあげた。人々は弾かれた様に視線を走らせ、すぐにそれはある一点へと束ねられる。
そこには女がいた。振袖に身を通さず、帯だけを腹にまいて佇んでいた。それも、露出した下半身を上にして佇んでいる。女は逆立ちしているのだ。その中心から、匂いは漂ってきているようだった。
ちなみに女は厚子であった。厚子の腹は大きく膨らんでいた。もはや臨月をゆうに超えるその腹部は別の生き物の様にその輪郭を蠢かせている。何かが意思を持って、その腹の中で手足を突っ張らせているのだ。
数瞬の静寂。気づくと、厚子は腹をへこませていた。露出した下半身、その中心で赤黒くヒクつく膣口がせり上がる。左右に伸びきった大陰唇はなお膨らみ、もはや世界一巨大な花の様に横へとだらしなく広がる。
水音がなる。薄い膜が、限界まで伸びた挙句千切れるような弾力のある音を響かせて外へと露出する。周囲から断続的に水が噴き出し、飛び散り、唐突に何かが上空へと飛び出した。
それは赤子であった。赤子は生まれたままの四肢を丸めた状態で、遥か上空に打ち上げられていた。どこが上かも定かではないだろう、ぐるぐると回転しながら上って行くそれは、やがてその頂点に達した時、四肢をピンと伸ばし、叫んだ。
あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!(ブリブリブリブリュリュリュリュリュリュ!!!!!!ブツチチブブブチチチチブリリイリブブブブゥゥゥゥッッッ!!!!!!!
夜空が弾ける。大音量が夜を裂き、肛門から放出された液が人々の視界に広がっていく。次いで鼻をつくツンとした臭い。濁流に流されながら老人は叫ぶ。唐澤貴洋死ね!濁流に引き離された恋人達は嘆く。唐澤貴洋死ね!濁流に飲み込まれる子供たちは喚く。唐澤貴洋死んじまえ!
死ねっ死ねっ死ねっ死ねっ死んじまえ〜
そうしてそこには唐澤貴洋だけが残った。