3 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/07/30(水) 22:41:32 ID:9WV4Ffm.
またしばらくすると、列車は駅に到着した。近くに川が流れているようだ。夜の訪れを感じさせる、爽やかで冷たい風が車内に流れ込む。
席を立ったのは、男子学生一人。男はその学生に見覚えがあった。と、同時に、彼の中に強い憎しみの感情が生まれた。
列車でたまたま同席しただけの人間に、なぜそんな感情が沸くのかはわからない。しかし何故か、学生の姿には殺意さえ芽生えていた。
学生がプラットホームに降り立つと、その周りを取り囲むように複数の学生が集まってきた。友人だろうか。その後を確認する前に、ドアが閉まってしまった。
男はとにかく、その学生が自分の視界から消えたことに安堵していた。彼には申し訳ないが、なるべくさっさと降りて欲しかったのが本心である。
制御器を動かす音が聞こえ、列車が一度大きく揺れる。プラットホームに響く打撃音は、車輪の音にかき消された。
列車は、なおも走り続ける。