人との出会いに感謝 (14)

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2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/07/30(水) 22:40:59 ID:9WV4Ffm.

しばらくすると列車は緩やかに速度を下げ、どこかの駅に停車した。
ゴトン、と音を立て、車体が揺れる。空気が抜ける音。ドアが開くと、一人の女性が席を立った。
男はその姿を目で追う。先ほどの少し年をとった女性だった。女はドアへ向かって、どこか悲しげな表情で歩いていた。
その時、男の中にある感情が湧きあがった。彼女と離れたくない、行かないでくれ。なぜかそう強く思うようになった。
当職にそんな性癖はない。当職の射程範囲は12〜17である。なのになんだろう、この感情は。
そうしている間にも、女はドアに到着、足を踏み出し、プラットホームへ降り立った。
刹那、ベルが鳴り、再び空気が抜けるような音が響く。ドアが閉まり、列車はそそくさと動き出してしまった。
男の願いも空しく、最後までその姿を目で追っただけとなってしまった。
列車は、なおも走り続ける。