41 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/10/13(月) 18:12:05 ID:.OqOlq.U
明日、森は小さな希望を持ちながら自分の働くオフィスに入る。
その希望というのは、当然、岩村が平穏無事に顔を出してくれるという希望である。
だが、いくら待てども岩村は出社しない。
定刻を過ぎても出社しないものだから、課長は怒り気味である。
「おい森。岩村のことをしらないか。昨日、君たち二人は一緒に帰っただろう」
岩村の不在を見とがめた課長が森に事情を尋ねる。
「岩村の家に連絡は通じないのですか」
「ああ、それが、母親は出るのだが、息子は昨日から帰っておりませんなどというのだ。
君、なにか事情は知らないのか」
森の顔面は蒼白となり、わなわなと震えだす。
ああ、やはり昨日の出来事は夢でも幻でもなかったのだ。
なんということだ。岩村は、あの屋敷と、あの屋敷に住む怪人とに飲み込まれてしまったのだ。
森の明らかにおかしな様子を見て取った課長は森を追及する。
「おい森、やはりなにか知っておるのだろう。話したまえ」
観念した森は昨日のことを課長へ話す。
帰り道、岩村とともに屋敷の庭に忍び込んだこと。
そしてそこで岩村が、蛆を纏った怪人に引きずり込まれたことを。
課長はそれをきくと大慌てになり、警察へと連絡をした。
すぐに近くの警察署の警察官が駆けつけ、岩村が消えたという屋敷に行くことになった。
しかし、なんということだろうか。
あの怪人は魔法使いか、それとも悪魔だとでもいうのだろうか。
向かった先で森が目にしたのは、あまりにも不可思議な光景であったのだ。
(次号へ続く)