5 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/07/18(金) 01:18:13 ID:aCApkZNg
説明会が終わり、興味がある部活の部室へ集合という流れになったのだが、俺は当然演劇部へと向かった。
新入生が入りやすいようにと考慮してのことだろう、ドアは開けっ放しになっていて何人か新入生と思われるのも既にいた。
俺は恐る恐ると覗いてみるとすぐに話しかけられた。
「おっ、君も演劇部に入部希望回?にひひ」
ショートカットの女の先輩だった。かわいい顔をしているが、もちろん俺の恋したジュリエットではない。というかいきなり入部ってなんだ。
「ほらほらこの用紙に名前を書いて書いて」
そういって何かの用紙と筆記用具を渡してくる。
「これ入部届ですよね……?」
俺がそう尋ねるとその女の先輩はまた「にひひ」と笑って頭をかいた。
「ま、最初から入部するつもりだったんで別にいいんですけど」
そう言うと俺は名前とクラスをそこに書く。
「おっ!マジで!?いよっしゃぁ」
どれだけ喜ぶんだこの人は……。いや、それともこれも演技なのか?
「へぇ、唐澤貴洋くんっていうのかぁ君」
俺の用紙を覗き込みながらつぶやく。
「ん?もしかして―――」
その時だった。パンパンと手を二度叩く音がして、みんな自然とそちらに注目する。
「はい、ではとりあえず時間になったので自己紹介をしてもらいます。もちろん部員と、ここにいる一年生のみなさんに」
演劇部顧問の先生だった。というか、俺のクラスの担任だった。全然気が付かなかった。ま、そういうもんか。
「まずはうちの部員からね。あと一年生はなんで演劇部に興味をもったのかも一応いってちょうだい」
そのあと部員がそれぞれ名前と趣味だとか特技だとか短い紹介をしていく。
その中にはもちろん「ジュリエット」もいた。やっぱり可愛いなあ……。顔がにやけてしまう。
と、ぼぉっとしているうちに俺に順番が回ってきた。
やばい、何も考えてないぞ。
まあ昨日のクラスでの紹介みたいに適当にやろう。
「えーっと、俺は、あ、じゃなくて僕は唐澤貴洋です。趣味はうーん、とくにないです」
ニコッと笑ってみせる。しかし反応がおかしい。
「で、興味をもった理由は?」
先生がうながす。ああ、そういえばそれも言うんだっけか。
忘れてた。頭が真っ白になって思わず言ってしまう。
「ジュリエット先輩が素敵だなと思って」
おいおい何を言っているんだ俺は。ジュリエット先輩ってなんだよ。しばらくシーンとなったが、すぐに笑いが起きた。