3 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/07/18(金) 01:15:46 ID:aCApkZNg
家に帰り入学式の後にもらった教科書や参考書をパラパラとめくりこれからの高校生活にそこはかとない不安を感じため息をついていたとき、厚史が帰宅した。
「おかえり厚史」
「ただいま兄さん」
厚史は可愛く笑って俺を見る。
「で、どうだった?クラスは」
「厚史のアドバイスのお陰でうまくいったよ。友達も何人か出来た」
「へぇ、それは良かったじゃないか」
「明日は部活説明会みたいだからそれで入る部活を決めて」
「おや、兄さん高校では部活にはいるのかい?」
「ああ、だって高校といえば部活だろ?」
正直に告白しよう。俺は中学では部活に入っていなかった。帰宅部というやつだ。運動も苦手だし群れるのもなんだか嫌だったのだ。
「どういう心境の変化があったのやら」
厚史はいたずらっぽく笑って僕を一瞥する。
「まあいいじゃないか」
「もうどの部活に入るのかは大体は決まっているの?ほら、運動系とか文化系とか」
「具体的には決まってないけど」
「まあ好きなのにするといいさ」
弟はわざと大げさに驚いてみせる。まるで海外のコメディの登場人物みたいに手を広げ肩をすくめて眉をあげて声色も変える念の入れようだ。
まるで『フルハウス』に出てくるジョーイ(山寺宏一が吹き替えをしているあいつだ)みたいなリアクションだ。
「高校生活、楽しかったらいいんだけど」
「兄さんだったら大丈夫さ」
厚史はいつもの快活な笑顔でそう応えた。