恋するロミオ (46)

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2 - 名前が出りゅ!出りゅよ! (sage) 2014/07/18(金) 01:15:10 ID:aCApkZNg

「高校に入って気をつけることってなにかないかな?」
「え?うーん……僕にはよくわからないなぁ」
そりゃそうだ。厚史は何も気にしなくたってうまくことを運ぶことができるからな。
「適当に思いつくのだと、例えば初対面では笑顔で接するとか?第一印象は大切だからね」
「ああ、確かに。でも俺ちょっと人見知りするたちだから」
「それは兄さんが自分で自分のことを人見知りするたちだと思い込んでいるからさ。肩の力を抜いて話すといいよ」
「そういうもんか」
「そういうもんさ。それから初めての自己紹介ではあまり卑屈にならないほうがいいよ。卑屈になられたら接しにくいからね」
「ふむふむ。なるほどな」
「あとはうーん……そうだ、高校では―――」
厚史の話を聞いているうちに時計が8時のメロディーを奏でた。シンディ・ローパーの”Time after Time”が時計から流れる。
それを聞いて厚史は慌てた様子で玄関に向かう。
「僕はそろそろいかないと」
「おお、行ってらっしゃい。俺はもう少しゆっくりするから」
厚史は俺みたいに新入生ではないので、いつもどおりの学校の時間に登校する。
俺も大昔の中学の頃は今ぐらいの時間に慌てて家を出たものだ。
しかし、今日だけは俺は新入生だからゆっくり登校できる。明日からは普通通りの登校時間に縛られることになるのだろうけど……。
リビングで一人、俺はふぅっと溜息を付く。深呼吸をする。
さて、どんな高校生活が俺を待っているのだろう。
楽しかったらいいんだけど……。

初めての教室ということで緊張して入ったのだが思ったよりもすんなりとみんなに溶け込めた。
厚史のアドバイスを守り笑顔で話し、友達をつくろうとする。既に何人か「仲の良い」といってよい奴が出来た。
可愛い子は……うん、何人かいるな。でも、俺にはそんなの興味ないな。そもそも女なんかにうつつを抜かすのは……
おっといかんいかん、愚痴るところだった。
その後の入学式も特に大過なく終わり(校長や来賓の議員の話がつまらない上長いのは最初から覚悟していたから気にならなかった)、お昼前には解散となった。
明日から授業が始まるというわけではなく、明日は明日で部活の説明会やらなんやらがあってまだイベント気分を味わえるらしい。
部活かぁ。青春といえば部活だ。部活で俺の青春は決まるといっても過言ではないのかもしれない。
明日は俺の高校生活を左右する決定をしなければならない日になるぞ。