たかにゃん (20)

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5 - さようなら、たかにゃん 2014/07/17(木) 21:03:59 ID:/DYLcxv6

唐澤貴洋は死にました。
虎ノ門から世田谷まで向かう電車にひかれて。
あの時、ワシ達親子は電車に乗っていました。
彼は途中までは大人しくすわっていたのですが、いきなり、声が聞こえる、と早口でつぶやき始めました。
話を聞くと、電車が揺れた時に声が聞こえるとの事です。
しかし耳を傾けてみても、電車の軋む音が聞こえてくるばかり。しかし唐澤貴洋は頑なに言うのです。妙齢の女性の苦しげな声が聞こえてくると。ワシは首を傾げながら、唐澤貴洋を見て愕然としました。
彼は勃起していました。電車の揺れに合わせて。どうやら、電車の軋む音に反応していたようなのです。
唖然とするワシの目の前で、唐澤貴洋は徐々に正気を失っていきました。いえ、元々なのかもしれません。しかし、電車が止まった時に、彼が苦しむ女性を探しに電車の下に潜りこんだのは事実です。
想像の中の女性を助けようとしたのか、はたまた何をしようとしたのか。ワシがケツの穴でも貸してやれば、何かが変わっていたのかもしれません。
ともかく、彼は帰ってこなかった。
彼はきっと死んだのです。