5 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/07/17(木) 19:23:08 ID:lafpfr2.
ああ、これほどまでに恐ろしい事があるだろうか!右も左もわからないこのおばけ駅に一人残された私は恐怖のあまり失禁していた。時刻表は字も読めない程に錆びつき苔むしており、公衆電話も自販機もない。聞こえるのはざわざわという木の音だけ…
いてもたってもいられず、私は駅の出口へと向かう。田舎の駅のようにホームのすぐ脇に有人改札(といっても誰もいないが)があった。そこを急いで抜けようとした時、ふと気付いた。山手線にはある都市伝説があった事を思い出したのだ。
曰く、山手線は平将門を封印している、という荒唐無稽な話だ。しかし、帝都物語でも加藤保憲が怨霊を呼び起こそうとする等色々な説話の中でその事は語られている。もしやここは平将門を封じ込めている場所なのではないか?
有人改札を出る直前に私の足はピタリと止まった。暗闇の中に一人の子供が立っていたのだ。頭を短く刈った、華奢な体つきの少年がこちらに向かっておいでおいでを繰り返している。彼の足元を見て、私は愕然とした。
黒い、黒い水が深く湛えられた用水路の上に彼は浮いていたのだ。