1 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/07/05(土) 03:08:33 ID:FZn7O/Lw
「ただいまナリー」
臥薪嘗胆を終え、一人の男が帰宅した。男の両親は仕事の都合で外出しており、一つ下の弟と二人暮らし。
もうすでに弟は学校から帰っているはずなので、返事が無い事に男は首をかしげた。
「…いないナリか?」
だが、戸締りはちゃんとするよう言っているので、鍵がかかって無かったのはおかしい。そして例え二階にいたとしてもただいまと言えばいつも駆け下りて来るので、様子が違う事は確かだ。
「聞こえて無かったナリ?」
男は制服姿のまま、階段を上がる。宿題中や昼寝をしていて気付かなかったなら、邪魔をせずそっと戻る。
そうでなかったら帰りの報告をする。そんな行動の予定を立てながら。
「アツシー?」
二階の廊下で弟の名前を呼ぶが、それでも反応が無い。うっかり鍵を掛け忘れて出かけた可能性が頭によぎった時だった。
「ふ…ぅ」
弟の部屋の中から、苦しそうな吐息が漏れてきた。そっと近付いて、ドアの前に立つ。
「は…はぁ」
明らかに乱れた呼吸。もしかして具合が。
「お…兄ちゃん」
「ナリ?」