豪流 (44)

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8 - 名前が出りゅ!出りゅよ! 2014/06/14(土) 13:47:51 ID:xhG9q7fo

そこまで思い返していたうちに唐澤家の墓前まで辿り着いていたた。
貴洋の家系は財を成してきた名家だ。
Kという字に似た家紋が墓のディティールにあしらえてある。
先祖や親戚が眠るその場所に厚史も。

腰を下ろし線香を立て、火を灯す。
煙は緩やかに流れ、禅とした匂いに心が落ち着く。

背負っていた鞄から水が入った天然水のボトルを出して、キャップを外した。
墓の上に腕を伸ばし一気に下に向きを変える。
荒い供養だが、水道水より上等だ。

ボトルが空になるまでかけたあとそれを収めた。
そして目を閉じ、手を合わせた。
安らかに眠れと心で念じた。しかしそれは死者への祈りなのだろうか。
貴洋はその言葉を自分に言い聞かせてるような感覚に襲われる。

ゆっくりと目を開いて伸びをする。
心のモヤはスッカリ晴れていた。

厚史はやっぱり死んだんだ。

貴洋は取り出した、厚の日記を。

貴洋は最終巻のだけは持ち帰り常に持っていた。
そして、今日の日付に書いた、墓参りと。

貴洋は厚史の日記の続きを自分が書くと決めたのだ。

(続く)